2008年05月15日

チャーのいない一日だったはずが

今日は雲一つない晴天の木曜日。前々から決まっていたチャーの歯垢取りの日であります。早朝の散歩を終え、チャーにとって恐怖の館・オタニ動物病院へ出発です。気配を察しているのか、少し不安げなチャー。

犬の歯垢取りは全身麻酔して決行するため、歯垢取り自体はたいしたことではないのですが、麻酔で意識が完全に戻るのに半日ほどかかるらしく、その間チャーがいない半日の時間を夫婦二人でエンジョイできる日でもある訳です。私はウキウキ、チャーはしょんぼり、ハミは~。私はイタリアだって、東京出張だって本当はハミと行きたいと強く思ってるのですが、この極度の甘えた犬チャーの存在が、それを阻んでいる。でも今日は半日チャー君バイバァ~イ。

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麻酔の注射はすぐ効き始め、私たち二人だけの休日は始まった。時間は十分にあるので、ゆっくり神戸の街を楽しみましょう。アル君をpen and message.横の駐車場に止め、まずは吉宗さんのところで美味しいコーヒー飲みながら一休み。元町の雑踏から少し距離を置いた場所にあるpen and message.の店内はジャズが静かに流れる心地よい空間。万年筆見ていたら欲しくなるけれど、いやいや今日はいけません。コーヒー飲みながらハミは雑記帳に万年筆で何やら書いている。その机の上には過去に吉宗さんが記した文章をお客様がまとめ、美しく製本された特別な本が鎮座してました。pen and message.のスタッフとお客様たちにとって特別な宝物。

pen and message.を後にして水谷時計修理工房に。
お願いしていたダンディーTさんのセイコーファイブスポーツは~


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水谷さんに預ける前の向こうキズだらけのセイコー・ファイブスポーツ。
それが~


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別物のようになりましたぁ~!。ハミと顔を見合わせ感動~
ベゼルは新品ではないけれど、水谷さんが見つけてくれました。思い出はそのままで、Tさんの青春時代のファイブスポーツが蘇りました。レンズとベゼル交換して、ムーブのメンテして9000円。素敵な思い出再生工場。

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ハミにはこの手巻きのセイコーの時計を。
沢山の婦人用の古い時計を見せていただき、その中からこの時計をハミはチョイス。

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昼食はどこにしようか?。神戸の飲食店スペシャリストのF夫妻に神戸の奥深さを味わえますぞと推薦していただいた和食のお店は次回の楽しみに置いておいて、トアウエストにある台湾料理の「愛園」へ。
場末の庶民的なこの中華料理店、私は大好きです。

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私は何度も来ましたが、ハミは初めてです。ここのえび春巻きのプリプリの食感がサイコーと言い続けた私。ハミに何度も話したようで、ハミも食べてみたぁ~いという事で決定。
えび春巻き以外にも何点か注文したのですが、二人だと品数いっぱいは食べられません。中華料理は大人数で、いっぱいの品頼んだ方がいいなぁ~。でもえび春巻きは絶品でしたぁ~。

「愛園」でお腹一杯になって、のんびりウインドウショッピングしながら大丸神戸店へ。
2階のエルメスを拝見。エルメスのショップはいつでも品薄状態が当たり前だったのだけれど、沢山あるではないですか。予想以上の値上げをしたエルメス製品、その影響か。買うわけではなくただ見せていただくだけの私たちにとってはありがたいことです。革の質感を生かした高級を表現しつづけるエルメスの革製品を見ることは勉強になります。


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エルメスでは当然買わずに、7階のスワロスキーショップでハミにブローチを購入。その後バカラ、ヨーガンレールのお店を見て、大丸を後にしてこれからが神戸散策の本番と思っていた矢先、携帯が鳴った。

オタニ動物病院からです。チャーを引き取りに来て欲しいという電話です。麻酔はまだまだ効いていて意識朦朧としているはずのチャーの悲鳴のような切ない鳴き声が、電話口の後方から聞こえる。まだ3時間しかたっていないではないですか。半日はチャーからフリーになるはずだったのに、3時間でタイムオーバー。


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チャーを迎えに行くと、意識は朦朧としていてまだ歩くのもままならない。だのに寂しくて泣いていたチャーを思うと、コノヤロ~!という気持ちと同時に愛おしく思う私たち。

チャーは夜の10時を過ぎても完調では全然ない。麻酔がまだぬけていないのか、それとも私たちと離れて過ごした3時間の精神的なショックから回復していないのか。3時間でタイムオーバーにさせられた恨みよりも、大人しくしている普段とは全然違うチャーが心配な私たちであります。
「よく頑張ったなぁ~」と家族みんなでチャーをなでなでしながら夜は過ぎる。私たちの過保護は続くだろう。でも歯はピカピカ真白になりました。これで年取っても固い食べ物を食べることが出来て長生きするでしょう。オタニ先生ありがとう。

2008年05月14日

縦型カブセ式のブリーフケース

ヨーロッパ皮革を仕入れてもらっているサライ商事の常務に用事があり電話したら、作るのはハミさんだけで私はブログを書くこととお客さんと趣味の話だけに精出して、鞄作りしていないのではないかなんて言うではありませんか。失敬なぁ~!。私は日夜寝る暇も惜しんで?鞄作りに精を出しておりますです。

現在フルオーダーの7割手縫いの縦型のカブセ式ブリーフケース製作中で、もう少しで完成です。基本的にはフルオーダーは現在休止中のル・ボナーですが、創業当時からのお客様の注文は完成月日の制約は勘弁していただきながら作っております。

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革はブッテーロよりオイルを多く含ませたマレンマという同じワルピエ社のピュアタンニンのショルダー革。良い馴染みが期待できます。

今ではあまり一般のお店では売っていない縦型のカブセ式ブリーフケースですが、注文主はこの形に非常に強い愛着を持っておられるようで、2~3年に一度の割合で同じ形で革を変えて手縫いで注文されます。手縫いに対して強いこだわりは持っていませんが、クライアントの希望であればやりますよ。

この鞄を引き取りに来られた時に、今まで使っていた兄貴分はお手入れがてらル・ボナーに里帰りです。どんな感じに経年変化しているか、愛でるのが楽しみです。


2008年05月12日

おじさんの小さな旅

テレビのチャンネルを変えていたら「おじさんの小さな旅」という番組に遭遇した。俳優の竹中直人さんが25年ほど前に住んでいた国立~国分寺界隈を散策する番組でした。私たち家族も25年ほど前、その界隈に住んでいたので、懐かしく見入ってしまいました。


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国立市のメインストリート・大学通り

私が23歳の時から10年この界隈に住んでいた。と言っても住んでいたのは府中市武蔵台。国立~国分寺の丁度中間あたり。ミーハーな私は最初素敵な街並みの国立に住みたいと考え、国立駅近辺の不動産屋さんで物件探しをしていたのだけれど、なかなか安い家賃で広い借家なんて見つからない。その結果決定したのが、国立市の境界線まで100メートルあるかないかの府中市武蔵台。府中の住所になると急に安い家賃の借家が見つかるのです。3K風呂付のボロ家ではあったけれど、車が2台は止めれるほどの広い庭付き一戸建て。ここで私たち家族は、頻繁に発生する雨漏りと冬の底冷えに耐えながら10年過ごした。

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いつまでも残しておいて欲しい国立駅舎が奥に~

国立の街は東京多摩地区において特別ハイソな雰囲気を持った街で、紀伊国屋スーパーもある。元々何もなかったところに、計画的に作られた昔のニュータウン。名前も国分寺と立川の中間の街ということで「国立」。でも相当昔の計画都市だろう。だって一ツ橋大学のキャンバスの建物は相当クラシック。私はこの街に憧れながら、最後まで馴染めない違和感を持ち続けたのはなぜなんだろう。


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国分寺らしいお店(1)

国分寺は若者が住みやすい街。気取りがなくて好きな街だった。多摩の聖跡桜ケ丘に初めてのお店を持った時も、什器は国分寺のアングラなお店で安くて雰囲気だけはある家具で揃えたなぁ~。

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国分寺らしいお店(2)

そんな都心から少し距離ある居心地良い場所に10年住んだ。ただその10年は大変貧乏な日々でもあったから、国立の文化的でスタイリッシュなお店も、国分寺の昭和レトロなお店も、あまり縁のない私たちでした。

でも多くの仲間がこのボロ家に集った。大学にこのボロ家から通う者もいた。居候も何人か居た。10年住んだ後半は、広い庭に借家だのに無断で8畳ほどの仕事場をプレハブで作り、その上車も止めていたので、庭スペースは4畳半ほど。そこで10人以上集まってバーべキュー。お店をつぶして車工場の期間従業員していた頃も、夜勤明けの早朝眠い目をこすりながら帰宅したら、仲間が待っていてそのままキャンプにみんなで行った事もあったなぁ~。お金はなかったけれど、夢と体力はあった。

もしまた東京に住むとしたら、やはりあのあたりに住みたいと思う。
いつかハミと一緒に東京を旅したい。そしてあの場所で知り合った仲間や恩人に会い、思い出の場所を巡りたい。私たちの「東京物語」。

2008年05月10日

時が味わい深める鞄たちが好きなんです

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8年ほど前に友人の店長(あだ名)に作った学手風ブリーフケースです。
あまりにも私の願った経年変化をしているので、
嫌がる店長を屁理屈満杯で説き伏せて
無理やり奪い取り、私が使うことにしました。
店長は顔は怖いけれど、いい人です。

8年の年月がこの味わいを作り出しました。
革鞄は長く使うと当然形が崩れたり、傷ついたりします。
そういったことも含めて、馴染んでいけばいいと思っています。


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マチの変形も雰囲気だと思っています。
作り終えてお客様の手に渡り、愛情持って使っていただき、時々ル・ボナーに里帰りしてメンテナンスしながら味わい深めるカバンたち。そんなカバンたちを見るのが愛おしい。

この学手風ブリーフケースはイタリアのワルピエ社のブッテーロで作りました。
この革は100パーセントピュアタンニンなめしのショルダー革で、オイルは植物性オイルを使った革です。
ミネルバリスシオなどのバケッタ製法の革のような凄いエージングはしませんが、長く寿命を保つ私の大好きな革です。傷付きやすい革ですが、時が癒してくれる復元力のある革です。
そんなブッテーロの魅力を出来るだけ引き出した鞄を作りたいと思いながら作った鞄がこの学手風ブリーフケース。鞄を包み込む2本のベルトは開け閉めが面倒ですが、この鞄においてなくてはならない部分だと思っています。オーソドックスな革鞄ですが随所にル・ボナーらしい工夫を加えています。


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学手と同じぐらいの年月使われたライターコレクターのSさんがオーダーしたブリーフケース。
本体底部分が変形していたので、矯正したらこんな感じ。ついでにコバも磨き直しました。
Sさんが定年退職するまで使い続けても、このブリーフケースが寄り添っていることでしょう。

カブセ式のブリーフケースは固い芯を入れずに作っています。革なりの緩みが使い込んで出てきても良いと思っています。緩みながら、経年変化しながら、馴染みを愛でながら、使い手の思い出がしみ込んでいくような革鞄が好きだから。私たちが鞄職人を続けている限り、それをサポートしながら良い形で年老いていって欲しいと願っています。

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名古屋に住む女性が6年間毎日仕事の相棒として使いつづけている、ブッテーロ革のグリーン色のブリーフケースです。糸がほつれたのでその修理での里帰りです。
ブッテーロのグリーン色は新品の時、特に爪キズが目立つ色です。でも使い込んでゆくと、その爪キズもエージングと共に内包され、こんなに良い感じに馴染んでゆきます。ついでにコバ磨きして革の表面をリフレッシュさせてあげましょう。ブッテーロという革は使いこんだとき、そのなめしの素晴らしさを実感できる革なんです。


8年店長が酷使して私の所有物に無理やりなった学手風ブリーフケースも、これから私が私色に馴染ませていこうと思います。愛しさえすれば、私と一緒に年老いながら生き続けるブリーフケースです。私はこの馴染みを素敵だと思っています。