2006年7月アーカイブ

2006年7月31日

メンズポーチ、サントス

ダブルファスナーポーチ.jpg
この少し大振りのメンズポーチ・サントスを作り始めて10年を越えました。
同じ様な形のメンズポーチは当時多くのかばん屋で作っていましたが、このサントスはそういったものより少し大振りで幅がありました。それが受けて沢山作りました。

最初、尼崎青年商工会議所の若き、実は中年の経営者のお一人が注文され、その後その会のメンバーの方が代わる代わる注文され、メンバーの大部分の方がこのサントスをもっていたのではないかと思うほどよく買っていただきました。
その後も30代から40代の経営者の方たちの支持を受けて、現在に至っています。同じこの形で、何個も色違いでお持ちの方も多くおられます。

このメンズ・ポーチを作り始めた頃は、既成のカバンと同じ様に内縫いの間に入れる玉ブチは、プラスチックの芯に薄く漉いた革を巻いて作っていたので、その革が擦り切れてプラスチックの芯が出てきて、その玉ブチの交換修理で、初期に作ったサントスが里帰りしてきます。
今はプラスチック芯を入れないで、厚い革の二つ折りとという方法に変えたので、今後作るサントスはこの修理はなくなります。

今回はミネルバボックスの黒、チョコ、茶、グレーの4色で作りました。内張りにはピック・シルキーを使い肌触りが良いですよ。
横27,5cm×縦14,5cm×巾11,5cmで税込み35,700円です。

2006年7月29日

イタリア旅行

大聖堂内.jpg

私がイタリアに行ったことがないというと、お客様たちは驚かれます。
私がヨーロッパのどこかの国でカバン作りの修行していたと思っていたと。
特に私自身が公言している大好きなイタリアの空気を吸っていない事を不思議がられます。私も行きたいのです。ただチャンスがなかった。

お客さんに39,000円のイタリア旅行があると教えていただき、早速ネットで見てみました。
ありました。ローマ3泊宿泊付きフリーという激安キャンペーン価格。東京往復プラス宿泊代でローマで3泊楽しめるのです。あまりの安さに驚きながら、一人で行っても楽しさ半減なので、一緒に行ってくれる相棒を捜しました。
幼友達の弁護士のO君が名乗りをあげてくれました。彼も私と同じでヨーロッパには行った事がなく、エコノミークラスの席での13時間あまりの苦痛を体験したことがないのです。
語学がまるでダメな私には強い味方。早速パソコンで申し込もうとしました。
するとあの激安39,000円ツアーはなくなっています。売り切れたようです。

ウエッブホロロマーノ.jpg

私のイタリア行きたい病に火が付いてしまいました。弁護士のO君も同じです。
初めてのイタリア。いっそのこと主要都市をダイジェストに見たいと思っています。
ミラノ、ベニス、ナポリ、ローマそしてフィレンツェ。格安でないか今捜しています。

旅慣れたお客様たちはイタリアの安ツアーだけはやめた方がいいと言います。ホテルがほんとに予想を超える酷さだと脅かします。私は20年前アメリカの西海岸の治安の悪い安モーテルを2週間泊まり歩いたというと、そんなレベルじゃない。ましてやもう50おやじで若くないのだからと忠告に拍車がかかります。
へそ曲がりの私は益々安ツアーでないと味わえない、屈折した楽しみがあるように思えてきます。

お客さんの撮ったイタリアの写真をブログに載せるのではなくて、私自身が見て撮った写真を載せたい。
大部分いい加減な国。しかし特別なモノを持っている国。なによりモノ作りの天使が住んでいる国です。
その空気を吸いに行ってきます。

2006年7月27日

窓越しに見える雨のリバーモール

雨のリバーモール.jpg
今年はほんとに雨がよく降ります。
例年だと、もう梅雨が明けてもいい時期なのに、降り続けます。
水が嫌いな迷犬チャーは雨も当然嫌いで、雨の日は散歩にも出たがりません。彼にとって集中力が必要なウンチも、雨が邪魔して出来ず、いつもは一日三回する犬が、雨が二日続いた時は、二日間ウンチがでない便秘犬でした。

私は極めつけの雨男で、子供の頃運動会はいつも雨模様だったように記憶しているし、遠足もよく雨だった。大人になってよくキャンプに行ったけれど、必ず雨が降っていた。それゆえに工事用のブルーシートのタープ貼りは名人です。
雨は嫌いではありません。特に垂直に落ちてくる雨が好きです。ボーと見てて何もしたくなくなります。心が休まります。

昨日も晴れていたのに、急に雨が降ってきました。窓越しに見える人工の川では夏になると子供を遊ばせています。
1キロほど続くこの人工の川は水を浄水して繰り返し使っています。浅いので安心して子供を遊ばせることが出来ます。週末には島外からも、小さな子供を連れた親子連れがたくさん来ます。
急な雨の中、子供たちは気にせず楽しんでいます。お母さんたちは六甲ライナーの線路の下で雨宿り。

梅雨時から真夏にかけて革には厳しい季節です。革には湿度が大敵です。
エアコンは革のためにつけ続けています。革の臭いもこの季節が、一番強くなります。

でも今日はうって変わって暑い。休日の今日は、カンカン照りの中、ハミの大好きなホームセンター回り。
チャーと私はビーちゃんの中で待っています。
ハミがホームセンターに行くと1時間は戻ってきません。炎天下の駐車場でエアコンのないビーちゃんで日なたぼっこ。脱水状態寸前で待っています。
現在社会の都会で、エアコンの付いていない車に乗ることは自殺行為に近いかも。
もう涼しくなるまでビーちゃんには乗りません。

2006年7月26日

オブレ登場

オブレ.jpg
3年ほど前に、イタリアで特注した生地とコンビで作っていたオブレを、今回はミネルバボックスで復活させました。生地あわせのカバンはどうしても長く使っていると、生地が擦り切れてきます。
これはどうしょうもないことで、その修理はむずかしい。そのことに抵抗を感じて、生地あわせのカバンを作るのをここのところやめています。

そのため、このオブレも革のみでの復活です。
横17cm×縦21,5cm×幅、本体8cm+前ポケ2,5cmのサイズで少し大きめのポシェットというサイズで、セカンド、ポーチ代わりに持つのにいいサイズだと思います。ポケットが前ポケットと本体の間にもあって使い勝手のよいバッグだと思います。
私も、いつも使っているパパスショルダーだとモノがいっぱい入るので、ものぐさな私は整理せずにいっぱい入れてしまうので重たくなってしまいます。オブレに変えて、必要なものだけを整理して持ち歩こうと考えています。
重さは600g、お値段は税込み35,700円です。

夏になり、街のかばん屋さんは生地やナイロンを使った鞄にディスプレイをシフトしているのに、ル・ボナーの店内は革カバンばかりです。
女性もののカバンはシュランケンカーフ中心で水色やライムグリーンがあり、夏でも涼しげなのですが、奥に並ぶメンズはイタリアのタンニン革が中心なため暑苦しいです。
特に秋に向けて、メンズの充実をはかっている最中なので、この後も暑苦しい鞄が増えてゆきます。

昨日、革屋の常務と話していて、オイルを含んだ革でもその油質はそれぞれ違っていて、バトラッシーのバケッタ製法(ミネルバ、ナッパCDなど)の革は牛の油を入れていて、ワルピエのブッテーロは植物性オイルを入れているそうです。オイルを含んだ革は、お手入れで後から別のオイルは入れると科学反応を起こす場合があるそうです。水拭きしてその後乾拭きするのが一番無難です。

2006年7月24日

私の自転車

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子供の頃、同級生のみんなはライトが一杯で変速機がついた、その頃流行の自転車に乗っていました。私は兄弟のお下がりの自転車でした。ライトも一つ、変速機もついていなかった。流行の自転車に乗りたかったけれど、怖い親父には言えなかった。
それがトラウマになって、自転車には思い入れがあります。

この自転車は10年ほど前に購入したもので、京都のナチュラルサイクルというところのもので、色や部品を自分好みにチョイスして組み上げてくれるのが気に入ってえらびました。見た目を大事にする私は、サドルはイギリス製の革のものにしたのでお尻が痛く、タイヤはロードスポーツ用の細いものにしたので、土道だと滑ってしまいます。それでも乗っている人を見たことがないので気に入っています。
ハミも同じメーカーの女性用の自転車を、こちらは柔らかなシート、普通のタイヤ、泥除けカゴ付きで実用的に乗っています。

ここのところ、自転車が安くなったなーと驚かされます。前後サスの付いた部品盛り沢山のマウンテンバイクが、シンプルな私の自転車より安く手に入れることが出来ます。海外の安い賃金の国で大量に作るからでしょうが、国内で地道に自転車を作っているメーカーは大変です。オリジナリティーを育てていくしかありません。

自転車には、少し距離のあるホカ弁屋さんにお昼ごはんを買いに行く時位しか乗っていません。昔、自転車で目黒から権の助の坂を越えて赤坂の仕事場まで通勤したり、自転車に二人乗りして都内のどこへでもドライブ、デートをしていた私は、今では運動不足のデブなおやじ。運動不足解消にまた自転車に乗ろうかな。六甲アイランドの外周道路は一周8,9キロはあります。この距離をフルスピードで漕ぎきったら、今の私は酸欠状態でたおれるでしょう。

2006年7月22日

チャーのバランスはアンバランス

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座布団とか載せていて、今にもすべり落ちそうになっているのに、チャーは我が家での安住の場所のソファーで、寝ようとします。座布団などを蹴飛ばし落として寝ればいいのに、そういったモノを抱え込んで寝ようとしています。バランスが悪くて寝にくいと思うのだけれど。

彼を見ていると、時々犬のぬいぐるみを着た人間の子供ではないかと思うことが多々あります。
喜怒哀楽がストレートで、吠え方は何種類もあり、ことばを覚えきれていない子供の感情表現のようです。
もしかしたら頭の良い犬かもしれないと思いつつ、ネコと同じ身勝手で、人間様には従順な頭の良さではないので、一生彼の頭の良さはわからずじまいで終わるのでしょう。

彼の大好物はアイスクリームです。
私がアイスクリームを食べ始めると、彼は瞬きもせずじっと見ています。口からはいつもはあまり出さないよだれが零れ落ちます。少し残したアイスクリームを彼にあげると、彼は陶酔したようなまなざしをして、なめてます。その真剣な姿は少し怖い。
肥満対策のため、私にアイス禁止令がでているため、彼もここのところ大好きなアイスを口にしていません。

昨日の夜、お客様がお店に入って来ると吠えました。初めて来店したその女性のお客様は商品を見ることなく、怖ーいと言って店を出て行きました。
閉店時間が近づいていて、チャーは帰宅モードになっていて、いつもは吠えない若い女性にも吠えてしまったのです。彼の人様に従順でない我儘な態度が、ル・ボナーのお客様になったであろう人を失います。怒ると反抗する我儘犬です。

散歩中、遠くに見える他のワンちゃんが気になって、溝に落ちました。
野生を忘れた、バランスの悪い犬です。

2006年7月20日

新作考え中

カバンの絵.jpg
新作を考える時、まず絵型から始まります。
独立系鞄職人の場合、問屋さんのように季節ごとの展示会などはないので、新作を出し続ける必要はないのですが、それでも新しく考え出すことをやめたら鞄を作り続けている楽しみを自分から放棄することになってしまいます。楽しくもあり、苦しくもあるこの作業を、鞄を作り続けている限り、続けてゆくのです。

私の場合、頭の中でイメージは出来上がっていて、それを誰かに伝える必要はないので、作る時のバランスを見るために正確に縮小した絵を書きます。そのことで型紙が作り易くなります。

軽くて柔らかな鞄と小物を今考えています。
今まで、ル・ボナーを支持していただいた年齢層より少し若い世代を意識してデザインしています。
革のカバンだのに、ナイロンと革のコンビの今流行りのカバンのように軽やかに持てる物をと。

若い人たちは鞄が革であることに、特別こだわらない人が多くなりました。そんな人たちに革の鞄の良さを知って欲しいと思い、そんな革鞄を思案しています。

私はイギリス風のしっかりした固そうな鞄が元々好きです。しかしこの手の鞄は堂々としていて存在感があるのですが、日々使うのに使い手の配慮と辛抱を必要とします。
その配慮と辛抱を要するゆえに紳士的な雰囲気を演出できるのですが、楽ではありません。
多くの人は革鞄にも、軽くて使い勝手の良い、それでいて革の良さを感じられるモノを求めます。その流れは無視できません。

50歳の脳は柔軟性に欠け、柔らかな発想がなかなか出てきません。
でも、その事も楽しんで、新作を考えます。

2006年7月18日

ダイソン友の会

ダイソン.jpg

私はダイソンというイギリスの掃除機を一年ほど前に購入しました。
最初、ダイソンという掃除機を知ったとき、こんな高い値段の掃除機を買うなんて冗談じゃないと考えていたのですが、使っている人の話しを聞いたり、掃除機だけを真剣に作っているダイソンの心意気に感銘を受けて、買ってしまいました。

私は家電製品を購入してこれほど惚れたものは他にありませんでした。
ダイソンは相当うるさいタービン音を代償に、良く吸います。いつも貯まる得たいの知れない微粒子をゴミ箱にかき出す時、よくそこまで吸ってくれたと感謝すら感じてしまいます。

デザインも秀逸で、まるでSF映画に出てくる機械のように嘘っぽく非現実的で、家の中で目立っています。このデザインが面白くて、我が家ではリビングにいつも鎮座しています。

今日、横浜に戻った店長(あだ名)からメールがあり、彼もダイソンを買ったそうです。やっと大人の選択?の買い物が出来るようになったねとメールを送っておきました。
私は親しくなった人たちにダイソンを勧めています。その甲斐あって知っているだけで10人ほどは買いました。私はダイソンの営業マンではありません。しかし豊かさを共感してもらいたくて勧めています。

私は、販売員の誘導にそそのかされて、オプション部品いっぱいの一番高いタイプの紫色を買いましたが、黄色のタイプで充分。吸うパワーは変わらないし、紫色のより黄色の方が可愛い。紫色のを選んだことが少し後悔。

しかしなんであれ、このダイソンはよくがんばってくれます。いつまでも吸引力が落ちない唯一の掃除機というキャッチフレーズが事実かどうか、これからが楽しみです。掃除機にこれほどまでに思い入れをもったのは初めてです。変だと言われれば確かに変。

マックのレトロ・モダンなデスクトップパソコンのデザインに衝撃を受け、色々な事情で諦めて以来、久々にデザインに一目惚れした電気製品がこの掃除機。性能良し、メーカーの心意気良し。

2006年7月16日

東京

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東京駅は丸の内側が好きです。昔の丸ビルがあった頃は必ず丸ビルのショッピングモールを散策しましたが、今はその丸ビルも変わってしまい序所に思い出の風景は、心の中にだけ残るものになります。

私は17年間、東京に住んでいました。
東京には多くのチャンスがあり、多くの挫折も経験しました。
必死で生きていた東京での17年間。
現在、神戸の人となって、時々東京に来ると、住んでいた時には見えなかった東京が見えます。時々自分を見つめ直すのに東京は悪くない。でも2,3ヶ月に一回でいいかな。

三鷹の高島野十郎展を見た後、浅草橋の金具の問屋が集まる三筋に。
このところカジュアルな製品をあまり作らなかったので、久しくご無沙汰していた柳場美錠に。社長は覚えていてくれました。昔のアウムさんねと。
ル・ボナーの取引先の多くが、なぜかビジネス的な一生懸命さがありません。柳場美錠もその最たる金具屋さんで、真鍮の金具では日本一有名な金具屋さんだと私は思っているのですが、そのブランド力をうまく使って事業拡大とか全然考えていない風で、周りの金具屋さんが新しい社屋に建て替える中、柳場美錠は昔のままです。
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その後、鞄メーカーの堀切の猪瀬さんのところへ。
猪瀬さんの古い木造校舎のような仕事場はいつ来ても、いいのです。一階の裁断場には、裁断職人40年のベテラン、上岡さんがニコニコしながら迎えてくださいます。二階の縫製場では忙しくサンプルと量産をこなしています。
仕事として、今年一番楽しみにしている企てを猪瀬さんたちとやるのです。どんな内容かは秋には公表します。形にするまで、楽しいけれど大変な日々がつづきます。今回はその相談で行ったのです。

夜は、日本橋の老舗の蕎麦屋さんに、Mさんとお食事。
Mさんとは、専門学校のヒコ、ミズノさんがバッグコースを開設する関係で知り合い、東京に行く時は会いたくなるお人です。今はトラバーユし、大手外資系企業の中枢で働いておられるのですが、江戸の下町を愛する好中年。
江戸前の蕎麦はちょっと特別。せいろとざるの違いは色が違う。のりはざるにも乗っていなくて、ざるの蕎麦の色の方が薄くて、せいろの蕎麦の色の方が濃い。海苔は別に頼んで漆器の小箱に入ってきます。江戸っ子の粋な蕎麦の食べ方は、箸ですくったそばの端を少し蕎麦つゆにつけて、蕎麦の味を楽しむというけれど、現実は蕎麦つゆがだし醤油なみに濃くて、蕎麦を全部蕎麦つゆにつけて食べると、濃くて食べれたものではないのです。

そんな蕎麦屋で楽しくお話して、いつもの東京の定宿、学士会館へ。やはり私にとっては居心地の良い宿です。今回の東京2日目は、午前9時には新幹線の中でした。蒸し暑くて早く神戸に帰りたくなりました。新神戸の駅に降り立つと、空気が優しかった。

2006年7月14日

高島野十郎という画家

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東京に行ってきました。今回の目的は三鷹市美術ギャラリーの高島野十郎展を見に行くことでした。
私が高島野十郎という画家を知ったのは、つい最近,美の巨人たちというテレビ番組で紹介されて知りました。その番組をハミと二人で見て、その画家の生き方とそれを伝える絵に深い感動を感じました。

その画家の絵が100点以上、実際に見れるのです。個人所蔵の絵が多いため、これだけの点数を揃えるのは大変だと思います。静かな絵が多くの事を語りかけてきます。最後に展示された、画家を代表する月と蝋燭を描いた何点かの絵を見たとき、感極まって目頭が潤んでしまいました。
心洗われる2時間あまりでした。

私は今まで絵ではフェルメール、陶芸では板谷波山というように、絶対美を表現する芸術家の作品が好きでした。そんな私が不覚にも画家の生き様に感動し、その生き様を伝える絵に刺激を受けてしまいました。

帰りの電車の中で考えました。自己を表現するっていうことはなんて素晴らしいことか。
私は自己を表現する名もなき多くの人たちにエールを送りたい。

私は今日からいつもの様に鞄を作ります。心を少しリフレッシュさせて。

2006年7月11日

ル・ボナーの模様替え

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仕事場の模様替えをしました。ハミと私は今回の模様替えは大変気に入っています。
仕事がし易くなったし、仲の良い顧客の人たちが来ても、仕事場の裁断台が憩いのテーブルに早代わり。
ただお店から仕事場への敷居をまたぐにはチャーの許可が必要です。彼が威嚇して吠え始めるとうるさいので、どんなに親しいお客様でもチャーのために制限されてしまいます。

前回の土日も多くの顧客がル・ボナーに来店していただきました。
九州から、関西出張の時は必ずル・ボナーに立ち寄ってくださるT氏。今回は奥様と自分のカバンの下見。趣味の良い選択をされるT氏の持ち物は私にとっていい勉強になります。レトロ過ぎず、モダン過ぎず良い感じ。

ル・ボナーの顧客の中で一番の若々夫婦は26年前登録のジープのJ37を購入したことを報告に。
私が一番愛した車のJ37を購入するのです。東京まで行って程度の良い、まだ走行距離が5万キロのJ37を買ったそうです。見るのが楽しみです。ご両親を連れて来てくれたのに、商売そっちのけでJ37の話をしていました。

その後、カバンと靴のためだけに湿度調整したワンルームを借りているM氏。出来たばかりのボストンバッグを見に来て、フラスキーニのパペーテで作った緑色の革の質感を気に入られたのですが、刺激臭に抵抗があって、泣く泣くナッパCDの茶を購入。M氏のカバンと靴だけのワンルームにル・ボナーのカバンがまた一つ増えます。

ビンテージのアロハとジーンズで、インディアン系のシルバーを一杯つけて来られるO氏はル・ボナーの顧客の中では独特のファッション感覚の中年青年です。その日はいい感じの雪駄を履いて来られました。
値段を聞くと47,000円。欲しいけれど買えない。O氏は履物が特に好きで和洋合わせれば60足はもってます。ムカデじゃないんだからそんなにいらないだろう。
O氏はここ半年、ダイエットに成功して10キロ痩せました。私も見習って頑張ってみようかな。

イタリアの車が好きで、私にアルファ147を強く勧めているY氏が来店。マセラティを買ってまだ1年も経っていないのに、大きな異物?が転がってきて、人は大丈夫だったのですが車は再起不能になってしまったそうです。他にも変な車持っているのに、次に買った車がアルファ147GTA。この人の病気は治らない。
今時計に夢中だと話すと、私は時計だけは手を出さない。時計に凝ると身の破滅という。車狂いの貴方にだけは言われたくありません。

日曜日の午後からはブランディング(ブランド構築)の仕事で東京と神戸で半々生活しているM女史と、エリートサラリーマンのA氏と、いつものF氏が同じ時間帯に。今日はいつも対の奥様は社員旅行で留守のためF氏一人。奥様が一緒でないといつもの覇気がありません。
裁断台を囲んでコーヒーとお茶でパーティーモード。神戸と東京のどっちがいいかなんていうどうでもいいような議論。一人がんばった東京派のM女史。多数決で神戸に軍配。

エリートサラリーマンのA氏は、私が購入したストーヴァの日本の代理店が取り扱っていない手巻きスモールセコンド付きの3針時計を得意の語学を駆使して購入するそうです。ドイツ本国のストーヴァのホームページを見るとすごく良さそうです。届いて見せてもらえるのが楽しみです。

M女史とは去年のプロ野球日本シリーズの第5戦に一緒に阪神応援グッズで身を固め、甲子園球場のアルプススタンドで声援するはずだったのだけれど、阪神の4連敗で第5戦は消滅してしまった。今年は是非とも甲子園で、阪神の雄姿を見たいものです。
月曜日の朝にM女史からメール。イタリア優勝ばんざーい。私は優勝の歓喜の中で、イタリアのリッピ監督が太い葉巻を燻らせているのを見過ごしてはいませんでした。しかしその事は大きな話題にはなりませんでした。

ル・ボナーには色々な人たちが集います。私たち二人はそんなお客様たちが大好きです。

2006年7月10日

ハミの贅沢な裁断

ハミの贅沢裁断.jpg
ハミが裁断するとこうなります。真ん中の綺麗な場所から裁断を始め、周りを多く残します。こんな裁断方法が許されるのはエルメスぐらいです。取り都合から考えれば最悪ですが、出来上がった鞄の行く末を考えるとベストな裁断方法です。

コンピューター裁断機だったら、1,5倍は取りきるパーツの量が違うでしょう。
昔、製造卸しをしていた頃の私だったら、もったいないと烈火のごとく怒っていたでしょう。しかし今はお店を持って売っているので、鞄にとってはベストの裁断方法なんだからと私もハミの影響を受けて、私の裁断も同じようになってきました。

革は放射線上に伸びません。それに反した方向に裁断すると伸びます。端にいけば行くほどその性格は顕著にでます。取り都合だけを考えて裁断すると、伸びてしまうパーツも多くなるので芯材を多用してそれを防ぎます。裁断に気を使えば、伸びるのを防ぐための芯材を使わなくて済みます。
革の表情感を損なわずにカバンを作る場合、出来るだけ芯材は使わない方が良いと私たちは考えています。

ル・ボナーのカバンは統一性がないとよく言われます。その通りだと思います。
しかしそれで良いと思っています。それぞれの革が一番活きるであろうデザインと縫製を大事にしてカバンを作ろうと、ハミと私は思っています。

2006年7月 8日

デュ、プイのロダニール

ロダニール.jpg
ヨーロッパの皮革業界も、大ブランドの消費サイクルに追従する形で、クローム系の革は特に傷がつき難く、色止め効果のある顔料染め仕上げの革が巾をきかせています。そのことは反比例して耐久性が弱まる革、馴染みを楽しめない革ということです。そんな中で、私が好きな耐久性があって、馴染みを楽しめる染料仕上げの革を探し出すのは困難な状況になっています。

この革は、フランス、デュプイ社のロダニールという革です。デュプイ社の作るカーフで、久々にドキドキする感情を懐かせていただいたクロームなめしのカーフです。
染料のみの仕上げで、フランスのタンナーが得意とする、爽やかな染め色で清潔感があります。肌触りもしっとりときめ細やかです。
ここまでの染料仕上げの革になると、原皮段階の傷を隠すことは出来ず、相当厳選した原皮を使わないといけない。そのため値段が高い。うー 使いたくても使いずらい革です。

マットでソフトな仕上がりのロダニールのようなカーフは、ボックスカーフなどの腰のある革で作る、シックな装いの鞄には向きません。カジュアルタイプの鞄に向いています。そのため価格が高いと厳しい。
市場性がないため革屋さんも仕入れてストックはしてもらえず、今回だけはサンプルという名目で少しだけ入手しました。20年ぐらい前までのグッチが作っていた、縫製のいい上品なカジュアルバッグをル・ボナーなりに再現したくて。

上品なカジュアルバッグの代表格はロエベでした。大ファッショングループの傘下に入り、昔あった独特の色香は薄まったような気がします。私にとって良き先生であったそういったヨーロッパの老舗ブランドがお金儲け優先で、心豊かなもの作り文化をこの頃軽視しているように思えてなりません。
それが私が使っているヨーロッパ皮革の品質にまで影響しています。
現在の大きな経済輪廻の中で、ほんとの豊かさが軽んじられているような気がします。

そんな中、ル・ボナーは心豊かな鞄作りをしてゆきたいと思っています。
ル・ボナーの革の棚には、イタリア、フラスキーニのデッドストックのカーフやデュプイのロダニールなど一番使うのに困るタイプのカーフ革が増えています。ゆっくり鞄に仕立ててゆきます。

2006年7月 7日

カファレルのチョコレート

カファレル、チョコ.jpg

http://www.caffarel.co.jp/kitano/index.html

家のパソコンの調子が悪く、ブログの更新に支障をきたしております。だいたいブログは家に帰って夕食後に書いているのですが、今はそれが出来ません。素人のわからんちんがいじると余計に訳のわからない状態になってしまいます。ここは専門家のお友達に助けてもらうことにします。

昨日の休日はトアロードにあるカファレルというチョコレート屋さんに行ってきました。
カファレルはイタリアのトリノに本店のある、3世紀つづくチョコレートの老舗です。そのカファレルが日本で始めて神戸に直営店を出しました。ベルギーなどのチョコレートと違って、ポップでカジュアルな感じで、それでいて味は本格派。私たちお気に入りのチョコレートです。

神戸は洋菓子激戦区です。そんな神戸にあえて日本唯一の直営店を出したカファレルの心意気にエールを送ります。チャーをビーちゃんで留守番させて、ハミとチョコレートを見ていたら、店内でもチャーの一人にしないでというせつない吠え声が響き渡って、落ち着いて買い物もできません。困ったバカ犬です。

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ワールドカップのために私は寝不足の日々がつづいています。
準決勝に残った4チームでイタリアとポルトガルを応援していました。ドイツとフランスはカッコ良くて共感を感じないのです。それに比べ私の応援する2チームはカッコ悪いほどひたむきに見えるのです。
ポルトガルは演技過多で負けました。イタリアはスタミナ勝負で走り勝ちました。最後は気合と根性が勝負を決めるんです。わたしはガッツーゾという選手が好きです。イタリアがんばれ。

2006年7月 4日

新型ボストンバッグの完成

ボストン、バタフライ.jpg
新しく型紙を起こして作った、軽くて使いやすいボストンバッグが出来上がりました。
横から見るとパターンが作り出す絶妙なバランスを感じていただけると思います。
ハミがパターンを起こし、私が作りました。このパターンに決定するまで、何度かサンプルを作りディスカッションを繰り返しました。その結果生まれたボストンバッグです。

縦31cm×横45cm×巾22cmの大きさで重さは1000gです。軽いと思います。その上、外側の目立ち難いところに長財布が入る大きさのファスナーポケットが2つ付いています。それでいて革の質感は充分。耐久性のない馬革などの軽い革を使って軽量に仕上げるような小細工は使っていません。

ボストン横.jpg
黒はイタリア、バトラッシー社のバケッタ製法のナッパ(ミネルバボックスより厚みを薄く仕上げた革)を使っています。チョコと茶はナッパCD(ナッパの革の表面に卵の白身を塗って磨いて光沢をだした革)を使っています。
一番前の緑のだけは、イタリア、フラスキーニ社のデッドストック革のパペーテで作ってみました。フラスキーニ社はイタリアを代表するクロームなめしのタンナーです。数年前まで、独特のなめしをしていたタンナーです。うなぎのタレのように、先祖代々の使っていたクローム液に継ぎ足し継ぎ足ししながら革をなめしていました。他で聞いた事のない方法です。
そのため、非常にねっとりとしたイタリアらしい美意識をもった革に仕上がっています。その代償に強い刺激臭がします。もう作られることのない愛すべきイタリアンレザー。
緑以外は税込み77,700円です。緑だけは88,200円にします。

ボストンバッグという鞄が好きです。ボストンバッグは良質の革で仕上げたものがいいと思う。夢を一杯詰め込めるような気がします。
今年中にもう1型、カジュアルなタイプのボストンバッグを作ります。

2006年7月 3日

コイーバの香り

バージンブリーズと葉巻.jpg
お店を早退して、絶品鳥鍋の富に行ってきました。今回は予約を入れず突然だったので4日前に予約していないと食せない鳥鍋は残念して、表メニューの鴨のハリハリ鍋をメインにその他色々を注文しました。
メンバーはいつものF夫妻と、私のことを鞄のお父さんと慕ってくれている、可愛い鞄職人見習いのMちゃん。
いつ食べても、富の料理は鮮度抜群、真心いっぱい、スープが特別。それでいて心配したくなるほど値段は良心的。次回は予約を入れて鳥鍋です。

その後、バー、パパヘミングウエイへ。バーは大人が静かに時と空間を楽しむ場です。ある種ストイックな酒場とでもいいましょうか。しかしパパヘミングウエイは楽。プロレスラーの蝶野似のマスターは、どこかとぼけていて場を優しくさせてくれます。今日も体育会系のパワフルなシェイクです。

私はいつものバージンブリーズを頼み、本命の葉巻を吸います。今回はコイーバの葉巻。今度スギモトに葉巻を買いに行く時、値上がりが心配です。この一本が今でも1600円なのです。
バーで吸う葉巻は特別。場と葉巻の香りが至福の時を提供してくれます。

料金は4人で9,700円。10、700円出してお釣りはいいよとしゃれ込む?つもりだったのに忘れていた。残念。当然のように帰りは午前様と相成りました。

2006年7月 1日

ブレゲ クラシック、レギュレター、パワーリザーブ

ブレゲ、クラシック.jpg
月に一度ほどル・ボナーに家族で、迫力のあるおじさんと一緒に来られ、ゆっくりお買い物をされるお客様がおられます。そのお父さんの時計が気になりました。さりげなくつけてられるその時計をはずして見せてもらうと、その時計はブレゲのレギュレター、パワーリザーブです。上品で色気のある時計です。奥様はパテックのクォーツです。

1年前までは、時計にまるで興味がなかった私でしたが、その後時計が面白くて夢中で知識を吸収してゆきました。そのことで次元の違う世界に迷い込んでしまいました。
ル・ボナーに訪れるお客様たちは、雲上の時計を特別でなくつけている人たちが多くいるのです。時計の雑誌やカタログを見ながら、憧れを感じながら実際は高嶺の花とあきらめるはずの時計たちを、見て、触って、聴くことが出来てしまいます。
ブレゲもパテックも知らなかった時は、何も感じなくてよかったのに、知ってしまった今の私には100万円の腕時計は安いような錯覚に陥ります。現実の私には遙かかなたのことなのに。

これから私は高価な時計を手に入れたいと思う気持ちはただの所有欲でしかないと自分に言い聞かせて、時計の達人をめざします。私の思う時計の達人は、時計の知識で遊べる人だと思っています。でも良い時計を見ると欲しくなります。いけないいけない、武士は食ねど高楊枝。年末に購入する時計で、ひとまず所有欲はお休み。

昨日、ライターのN氏が、時計店の取材出張の途中立ち寄っていただきました。いつもスイスから魅力的な写真を送っていただく、私の時計の先生のN氏。徳島、高松、岡山、神戸とハードな取材の中、お顔をだしていただきました。
時計の話し他色々なお話をして、あっという間に時間が過ぎてゆきました。
N氏の腕にもブレゲでした。ベルトはパリのジャンクロードペランのおやじさんの工房で本人に作ってもらったガルーシャ革のもの。今私は時計ベルトを色々調べているところなのです。

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