豆カンナと念引き

私達がコバを処理する時、豆カンナと念引きは必需品です。
豆カンナはコバの角を削るため必要なのですが、私達は刃の厚みが薄くて、削る部分に真鍮の板がついているタイプのものが良いと考えていますが、道具屋さんでは見かけなくなってきました。刃が厚くて真鍮の板が着いていないものは沢山あるのですが、それだと繊細な削りがし難いのです。
最近の鞄は、カンナをかけずにコバを処理しているものを多く見ますが、やはりカンナがけは必要だと思うのです。
念引きはコバとステッチの間に念を入れるため引く道具です。念を引くことによってステッチが締まって見えます。タンニンなめしの革の場合はそのままでも引けるのですが、クロームなめしの革の場合熱を加えてひきます。一手間かけることで鞄が良くなります。
こういった、大量生産だとあまり使われなくなった道具は、手に入れにくくなってます。
手縫いに使う一寸13目の菱切りも作れる職人さんがいなくなったようで、一寸12目までしか売っていません。
より早く作るための道具は進化しつづけるのですが、より良く作るための道具は消えていきます。
会社は利益を求め続けなければいけない宿命を持っています。それは鞄業界の会社も同様です。だから非効率な作業や道具は消えていく方向に向かいます。
ただ独立系鞄職人の場合は食べてさえいければ、自分の信じた方向性で我儘なカバン作りが可能です。そんな私達が古き良き時代のカバン製造技術を守ってゆく役目を担っているのかもしれません。












時々お客様で、ドクターバッグの底のコバの部分に写真のような底鋲を付けて欲しいと言われる方がおられます。ル・ボナーではそれはお断りしています。付けることで底の部分が傷みにくくなると思われているようですが、付けると重力の関係で同じ高さになろうとするため、底鋲を付けた部分だけ変形してしまうのです。変形を生みやすい作りは極力しないようにしています。








