削り出しの錠前のサンプル

グラスに使う錠前の試し彫りが届きました。実際の錠前は真鍮で作るのですが、これは旋盤のプログラムが間違っていないかが分かればいいので、ジュラルミンで。
普通、市販の鞄の錠前その他の金具はアルミダイキャスト(鋳造)にニッケルメッキをして銀色の金具に仕上げ、金色の金具はその上に金色の塗装をします。多くのかばん屋さんの鞄は既製のそういった金具を使っています。
そんな既製の金具に抵抗があり、今までにもオリジナルで何点か作ってきました。
しかしそういった金具は、浅草三筋界隈の金具問屋経由でのもので、制約は多くありました。
今回は鞄業界とはまるで関わりのない精密金属加工会社にお願いしました。
ル・ボナーの顧客のY氏に紹介していただいたその金属加工会社の社長さんは、私と同年代のイタリアチョイ悪風の少し怪しい人物。鞄のデザインも作りも革も良いけれど付いている金具が納得いかないと素直な発言。確かに精密金属加工をしているお人から見ればその通りでしょう、だったら作ってみてくださいということにあいなりました。
少ない数の上資金的制約もある、金銭的うまみなんて全然ない注文。それも複雑な削りが要求される形状。作ってみようと思っていただいた精密金属加工会社の社長さんに感謝、感謝。
作るなら世界一の鞄用錠前を作るべく部品含めて、時計の部品なみのレベルで作り上げると豪語する社長。
ケースの削り出しのプログラムは、精密加工会社のホープである20代の若者が残業して組んでくれました。計測も3次元計測器でミクロン単位。蝶番のところも精度が落ちるからと、溶接ではなくて本体と1体で削りだしています。ムーブを収めた蓋をとめる小さなネジ山とネジ穴も6度ほど磨き上げを繰り返し、精度を高めるそうです。
金色は真鍮素磨きで仕上げるのですが、銀色は、最初ジャーマンシルバー(洋銀)で作る予定だったのですが、この金具の場合厚みがありすぎて、この厚みを削りだせるジャーマンシルバーが手に入れられないことが判明したため、急遽ニッケルとクロームの二重メッキをすることに。ニッケルは真鍮の食いつきがよく、クロームは硬度があり丈夫。
メッキによる厚みを考慮して、真鍮本体をミクロン単位で削って、真鍮素磨きの金色のものと厚みを同じにするんだそうです。それもメッキは金属表面の洗浄の良し悪しが食いつきの良さを左右するからと、純水で洗浄するこだわったメッキ屋さんにお願いします。
ムーブの中に使う小さなバネも耐久性のある特殊なバネを但馬の工場に作ってもらっています。精密金属加工会社の社長さんの素晴らしいネットワーク。
この小さな鞄用の錠前を組み上げるために、兵庫県の北から南まで、多くのこだわりの強い職人さんたちに手伝ってもらって、出来上がろうとしています。
この後順じ、ブリーフやダレスで使う錠前や、バックル、押さえやカンを作っていく予定にしています。それは真鍮とジャーマンシルバーを使う予定です。
日本の大手鞄屋がやらなかったオリジナル金具を使った鞄作りをしようとしています。
それも世界一精度が高いオリジナル金具。出来上がるのが楽しみです。


























