2018年7月アーカイブ

2018年7月30日

修理完了、25年前製作のボストンバッグ

神戸の六甲アイランドでお店を始める前に、新宿の「バーニーズニューヨーク」に卸していた製品の中にボストンバッグがあった。25年前にこの地でショップを初めた最初期にはそれらの製品も並べて販売していた。その品の修理を頼まれたのだが、その頃使っていた国産タンニン革の表皮が部分的に死んでいるので、部分的に補修したとしてもかかる費用に見合う年月使えるとは思わないと言って一旦はお断りしたけれど、それでも良いから直して欲しいとの強いご要望にほだされてお受けする事にした。

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このように革が鱗状に剥離しはじめた状態になると復元力を失った死んだ状態。粘りがなくなりすぐ裂ける。

直す部分はハンドル交換と裂けた底部分の四方の補強。その当時使っていた革はもう入手出来ないので、持ち主に了解を得て同色のブッテーロ革を使って修理する事に。

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ハンドルは全取っ替え、根革はまだ傷んでなかったので糸を解き手縫いで縫直し。

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元は内縫いしただけのこの部分が裂けて、その補強が大変。でもここまでやったらこの部分は永久保証ですね。

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この当時は真鍮金具がメインだった。ただ真鍮の問題点はこの緑青が出る事。緑青は革を腐らせる。マメに拭き取ればば良いのだけれど、なかなかそうもいかない。その問題もあって今ではル・ボナー製品はシルバーメッキメインに。真鍮素材の金具にもシルバーメッキするようにしている。

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真鍮が革に触れる部分は革貼って直接触れないようにしときましょう。

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この頃はスイスのリリー社のファスナー使ってた。この頃のリリーのファスナー生地の丈夫さには驚かされる。25年経っても全然生地が裂けてない。その後生地が変更されてからはリリーのファスナー使わなくなったなぁ〜。

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革のバッグは接し方次第で永遠の可能性がある。ただそれは稀有で多くは遅かれ早かれ朽ち果てて行く。ただこれだけは言えてる「革のバッグは使う人の思い出を刻む」。そして他人が見たら汚いだけのバッグでも特別になる。

そして修理完了、もう暫くは使えると思う。

2018年7月13日

「ネコリュック」らしくない?けど人気です。

ネコリュック完成しました。このリュックの原型が生まれたのは40年近く前、私達が独立して間もない頃。25年ほど前、この神戸のお店をオープンする頃にも作っていた。その頃は本体グローブ革でストラップ等のパーツは国産のタンニン革。その後一時ル・ボナーらしくなかなと製作していなかったけれど、愛用していた方々の要望が数多くあったので10数年前にシュランケンカーフ使って復活しました。途中からストラップもシュランケンの2枚貼り合わせにバージョンアップしてフィット感も向上。今回は大人しめで6色。

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ネイビーとトープ。

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ダークブラウンとゴールド。

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スカイとエッグシェル。

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背面はこんな感じ。ネコの顔に見えませんか?。背面に出し入れ口が集中しているのは何かと安心感があります。

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外についているファスナーポケットを開けるとその中にまたポケット。ここに色々入れると見分けにくくなる。そんな時、この内ポッケが効果有り。iPhone plusも収まりますよ。

税込み48,600円。背負って街を歩くと幸せな気持ちのさせてくれるリュックです。本人は勿論周りの見知らぬ人たちも。もしかしたらこのネコリュックが最もル・ボナーらしいのかも。

2018年7月 6日

元祖はこの革「パパス・ショルダー」

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パパス・ショルダーバッグはこの革から始まった。発色の良さと革のフィット感なら後発のシュランケンカーフのパパス、でもエージング楽しむならミネルバボックスのパパス。今ではル・ボナー製品の中で唯一ミネルバボックスを使ったバッグ、パパスだけはこの革使って作り続けて行きたいな。

ミネルバボックスをちょっと詳しく説明。バタラッシーの先代は最初、無くなったイタリア古来のなめし技法のバケッタ製法を研究していた。そしてその技法を復刻させたくてタンナーになった。そのバケッタ製法からまずミネルバリスシオが作り出され、それを揉んで腰を無くしたのが「ミネルバボックス」。揉んでオイルが馴染んだからなのか、リスシオよりボックスの方がエージング度合いは高いと思う。今ではバケッタ製法の革を作るタンナーは数社あるけれど、バタラッシー社が元祖。イタリアには100%タンニンで鞣した革を認定する協会があって、バタラッシー社の革もその認定を受けている。その100%ピュアタンニンのフランス原皮のショルダー革に動物性油脂を入れアニリン染め(染料染め)して出来上がり。ちなみにワルピエ社のブッテーロもタンニンなめし協会認定革、含まれているオイルは植物性だけど。

今回も4色登場。エージング度合いが高い順に紹介。ただエージングは個人差あります、基本乾拭きして含まれているオイルを出してあげましょう。それとエージング最優先なので色止め加工していないので、濃い色は色落ちするので白い服にはご用心。エージングしちゃえば色落ちも緩和されますが。

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オルテンシア。色抜けする場合もありますが、深い光沢を持ったグリーンかかたブルーにエージングした個体を見た時には驚かされた。

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グリージオ。間違いなく茶色になります。でもそのエージング具合は特別。この色のままが良いという方は、シュランケンカーフのオリーブをお勧めします。

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コニャック。ミネルバボックスのパパスの中ではやはり王道かも。

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コニャックのエージング具合を見てみましょう。右がエージングした状態。この深みを持った艶感は魅力的です。

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タバコ。この色が4色の中で一番変化度合いが少ないかな。

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使い込んだタバコのパパスが前です。

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パパスのデザインの中で部分的にはこの内縫いの膨らみが好きかな。

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この工夫で旧パパスより同じサイズなのにファスナー口が4cm広くなった。旧型は曲げながら入れないといけなかったけど、これだとA4ファイルがスムーズに入る。

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改良する時に一番贅沢したのが内装。ナイロン素材からピッグシルキー革に。それも顧客のご要望に応えて、前ポケの中も内ファスナーポケットの中も同じピッグシルキー革だし、中央で仕切られた内ポケットも実はピッグシルキー革二重なんです。きっと内装は外の2倍以上の革を使ってるはず。顧客の要望がなければしなかった暴挙。その後他のル・ボナー製品でも内装が革の場合、ナイロンや布との併用はご法度となってしまいました。色は統一の濃いグリーンですが、これは汚れが目立ちにくくて大正解。

これからも作り続けるミネルバボックスのパパス・ショルダーバッグ4色、税込み64,800円。どうですか?ピッグシルキー革の大量使用を聴くとお安く思えてきませんか?。宜しくお願いいたします。

2018年7月 4日

日本初かな?「SD版」革試作

日本では基本牛革を半裁にして鞣す。それに対してヨーロッパの場合、成牛は両側のお腹部分(ベリー)を裁断し首周りから前足辺りまで(ショルダー)とお尻周り(ダブルバット)に分けてそれぞれ専門のタンナーが鞣す。原皮の価格はダブルバットが一番高くてショルダーそしてベリーの順。それって原皮の背骨部分を中央にする事が目的、半裁で鞣すと中心が革の端になってしまう。機会あるたびにこのヨーロッパ方式の裁断方法で革を鞣してほしいと頼んでみるけれどいつも拒絶されてしまっていた。しかしやっとこの裁断方法で革を作ってくださるタンナーさんに出会えた。

それも質の良い特別な国産黒毛和牛原皮使って。屠殺した時に出る廃棄物扱いの皮は、その後手間を掛ける事で革に変わる。日本の原皮は決して悪くない、ただ欧米のように原皮産業システムが機能していない為に、多くが廃棄されているのが現状。でもそれを変えようとする人たちが日本の業界にもいた。待つこと数ヶ月、試作革が出来上がって来ましたぁ〜!。

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ただヨーロッパ方式とは違ってベリー部分だけを切り落としてショルダー(S)とダブルバット(D)は切り離さずにSD版です。最大長250mmが中心部分です。これなら傷だけ気にしながら無駄なく使える。

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試作にしては革の表情も良い感じ。ベリー部分も、顔料厚く仕上げて延び止の芯材貼って使えば十分用途はあるのだけれど、革の表情活かす表面仕上げして革なりのしなやかさを活かす革製品に使うと支障が出る。

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ステア(成牛)の半裁だと全体の1/3がベリーで裏床は毛羽立っているけれどSD 版だと端まで繊維がしっかりしてる。

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約300デシのサイズ(1デシは10cm四方)。国産黒毛和牛は半裁200デシオーバーサイズなので、100デシオーバーのベリー部分を切り取った事になる。

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実現出来た、これを煮詰め込んで行きます。そして生かせるバッグを作らないと。まずはヨーロッパ皮革高騰で休止中のフラボナシリーズのバッグを復活する時に使ってみよう。楽しみ〜。

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