
中断していたレジェ・ボストン製作を再開して、数日前に完成しました。
今回は店舗用にイタリアのバッファロー(水牛)と、
何年待っていただいたかなぁ~。
頼まれていた北欧のフェルディナンドカーフを使って作りました。

レジェ・ボストンの特徴はこのマチの山折り部分のステッチ。
この工夫で面白い形状を生み出すとともに、見た目よりいっぱいの収納力。
横44cm×縦31cm×幅21cmというサイズ以上の奥深さ。
革のボストンバッは大好きな鞄です。使い手に使い方を委ねる鞄です。
夢も一緒に詰め込んで旅にいけるように思えるのです。
機能優先の鞄が多くなった現代のニーズに、
革のボストンバッグは、少しそぐわないかもしれないけれど、
優しさ伝える鞄のように思う私です。
名前の由来は、アメリカのボストン大学の指定カバンとして、
学生たちが使っていたことからと言われているけれど、この名称は日本でしか通じない。
アメリカへの憧れが、昭和の時代にその名を発想させたのだろう。
私は高校生の頃、英語で「MADISON SQUARE GARDEN SPORTSMAN CLUB BOXING WRESLING FOOTBALL」と表面に書かれたマジソンバッグで学校に通っていた。
母が宮崎の実家に里帰りする時は、ズックのボストンを持って寝台車で帰っていた。
父が泊まりがけで出張する時は、姫路革のボストンバッグ持って出かけていた。
私が家出した19歳の時は、大きなアウトドアのナイロンボストンに荷物を詰めて出て行った。
ボストンバッグは思い出のシーンによく登場する。

お店に並ぶレジェ・ボストンはイタリアのバッファロー(水牛)革のチョコ色で作りました。
この革はバッファロー革には珍しいタンニンなめし。
だから強烈なエージングを楽しめるボストンバッグ。
お値段は税込み147,000円での登場です。
レジェ・ボストンでは初めて内装もグリーンのピッグシルキー革を使って作りました。

私たちの大好きなフェルディナンドカーフで作れる最後の大きなカバンです。
この革が大好きで、使い続けたかった革です。
でもこの革を作っていたタンナーも廃業し、もう二度とこの革とは出会う事はかなわない。
親しいお客様が注文していただいたので、これからも何度か再開できるでしょう。
使い込んでどんな表情を見せてくれるのか、楽しみです。
最後のフェルディナンドカーフはこうしてレジェ・ボストンになりました。
これからもボストンバッグは作り続けます。
夢をいっぱい詰め込める鞄だと思っている私だから。
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追伸
革屋さんの常務にクラシコバッファローについて聴きましたぁ~!
ヨーロッパにいる水牛は革にするとブヨブヨで製品にはならなくて、
大人の水牛で革に出来るのは、世界でタイとエジプトの原皮だそうで、
これはタイ原皮だそうです。
大好きな質感、姿です。見ているとくらくらします。無知な質問で申し訳ありませんが、「イタリアのバッファロー(水牛)」とありますが、イタリアに水牛はいませんよね。飼育しているのですか?革として普通の牛とどうした点が違うのでしょうか?
とても魅力的な鞄でしたので質問してしまいました。軽そうですね。読みたい本と万年筆とノート、1~2泊の着替えを詰めて温泉でゆっくりと過ごす休日、そんな日が日常の側にあるようになったら使いたいなぁ。