
革の在庫がますます増えてます。革屋の棚に保管してもらっている革もお店に持ってくると、仕事をする場所がなくなるほどに、今革がいっぱいです。
無謀に見える在庫量ですが、1年の前半に気に入った革は買えるだけ買って、後半は買い控えて、鞄を作り続けて、在庫を減らす計画をたてているのですが、計画どうりになるかどうか。
夏より冬の原皮が質が良く、そのためもあるのですが。
あれも作りたいし、これも作りたいと頭では考えて革を買い込むのですが、なかなか生産力が追いつきません。がんばって作らなければ。
1枚の革を買うのにも躊躇しながら、鞄を作っていた時期が長かったため、その反動で作りたくても革がないために作れないというのだけはイヤで、買えるときには過度に買い込んでしまいます。
在庫を出来るだけ持たずに、材料を必要量仕入れて作る事が、製造業の商売成功の最も重要な事と言われていますが、私たちはその反対を、確信犯的に続けています。
鞄を作ることが私たちにとって一番大事なことだから、そのことを制約されたくないのです。
良い革は、ワインのように、寝かしていると熟成され、より良くなめされるので、まあいいかと自分達を納得させています。

今の仕事机の位置は、結構気に入っています。
機械と道具が、私の周囲にあり、包まれている感じです。
頭を上げると、窓越しに新緑が美しい。
なかなかこんな恵まれた仕事場はないと思います。
20年経って70歳になっても、同じように此処で大きくなった木々を窓越しに見ながら、常連のお客さんたちと楽しく会話をしながら、鞄を作りつづけられていたら、最高に幸せです。
その時、20年前に仕入れた革がまだ棚に残っているなんてことはないと思うのですが。
ホントは材料の在庫については、他人事ながら心配していたのですが、確信犯だと判り、また革は長くおいても悪くならないのですね。ぜひ、そのお気に入りの革でしか出来ない、ル・ボナーにしかない素敵な鞄を作ってください。松本様と奥様の本当に作りたい鞄をファンの一人として、楽しみに待ってます。
私の鞄徐々にですけど、にぶい艶が出てきました。少しづつル・ボナーの鞄付き合っていくたのしさが判ってきたような気がします。