久々にアタッシェを作りました。今回はそれもナイルクロコのラージサイズを使ってのオーダー品だったので大変でありました。失敗は許されない高級皮革を使っての手縫いのアタッシェ、予行演習を兼ねてイタリア、フラスキーニ社のデッドストック革のムスタングのバーガンディー色を使ったアタッシェを並行して作りながら、オーダー品のクロコのアタッシェを作りました。
小さいけれど一寸11目で菱を切り、芯の板とあわせて12ミリほどの厚みの手縫いです。縫ってみると分かります。これは大変な作業です。多くの市販のアタッシェは貼りあわせるだけでステッチは飾りステッチです。ル・ボナーでは芯の板と一緒に手縫いするタイプのアタッシェしか作りません。そうすれば丁寧に使ってもらえれば、次世代まで残すことが可能なアタッシェになります。特に角の手縫いはカスガイの役目を担っています。LVのように金属の角カバーを釘で打ち付けると楽なのだけれど、それではカスガイそのもので無粋です。
トランク(左)とアタッシェ(右)の口元の違い。
私はトランクとアタッシェを分けて考えています。この分類は一般的ではないかもしれないけれど、芯に厚ボールを使って口元に金属の枠を入れて作った箱型の鞄をトランク、芯に木の板を使い木箱に貼り込んで作った鞄をアタッシェと便宜上私は考えています。見た目の違いはトランクは口元が本体にかぶさるようにとじます。アタッシェは口元がフタと本体が面一になります。大正、昭和の初期に多く作られ古道具屋さんなどに今も残っているのがトランク。ルイビトンなどが作っているのがアタッシェだと考えています。
厚ボールを芯に使ったトランクは弱そうに思うでしょうが、手縫いで補強し弾力性があるので、板に革を貼り込んだだけのアタッシェより全然丈夫です。だから100年経ってもトランクは今でも蔵の奥や古道具屋さんに存在しますが、100年経ったアタッシェはそんなに見ることがない。
そんなトランクが私は大好きで、鞄職人30年の間によく作りました。しかしそのレトロな風情は、現代普段使いするには違和感があり、それに比べアタッシェのシャープなフォルムは現代のスタイルでも違和感なく使えます。しかし弾力性のない板の箱に革を貼り込んだだけのアタッシェだと板のつなぎ目がゆるみガタがきてトランクに比べて耐久性が劣ります、が角を手縫いした場合は違います。カスガイの役目をして大きなアタッシェでなければ、トランクより強度ある鞄になります。
ただその手縫いが大変。厚ボールと革のトランクの手縫いの場合菱を切るのはそんなに大変ではないのですが、板と革、それもトランクの厚みより格段に厚い部分を縫うアタッシェの手縫いは一目一目厳し~い。斜めに菱を切る部分だと2cm以上の厚みです。固くて厚い。もう手縫いのアタッシェなんて二度と作らないぞぉ~!と思いながら、体力の衰えを痛感する私ですが、完成するとやっぱり手縫いのアタッシェは作った満足感があり、また作ってもいいかなぁ~と思ってしまいます。
今回で400話到達です。一年と十ヶ月で長文ブログ400話は我ながら驚いてしまいます。多くの人からコメントやメールを頂き、それを励みに400話。これからも本業の鞄作り以外の内容が多いブログになると思いますが、呆れずにご愛顧お願いいたしまぁ~す。今日は初心に帰って鞄のお話でありました。




木との手縫いはすごいですね!!
想像しか出来ませんが
本当に大変な作業だと思います。
手をかけた分いい鞄の出来上がり
ですね。
サイズはかなり小型ですね?
中が気になりました。