シュランケンカーフはル・ボナー製品のメインレザーです。この革で作る製品をご購入される時、トラ模様が少ない個体を望まれるお客様が多くおられます。シュランケンカーフ1枚の下記画像をズームして見て下さい。トラ模様は中央背の部分からお尻をを除いた大部分に広がっているのが確認出来ると思います。

トラが受け入れられない方は、シュランケンカーフでない型押し併用シュリンク革のル・ボナー以外の製品をご購入された方が良いのではないでしょうか?シュランケンカーフは現在世界的にも希少なシュリンク加工のみにより、革を凝縮させてシボ模様を作る本シュリンク革です。革の本来持ってる革質がそのまま強調されるので、出来るだけ革の繊維が締まった原皮でないとブヨブヨのシボの革になります。その為ぺリンガー社は標高の高いアルプス地方のアルペン牛のカーフを使い、後加工で修正出来ないシュランケンカーフはその中でも厳選した原皮を選別して使っています。型押し革や顔料厚塗りの革だと革繊維の質は見た目に影響しません。

ぺリンガー社のウルリッヒ社長に尋ねた事があります。パリの大手メゾンではこの革をトーゴという名で使っていて、ヨーロッパのタンナー数社で作っっているけれど、どう区分けしているのかと?そしたらペリンガー社のシュランケンカーフはEU圏内で、他社はそれ以外の地域の製品との事。ぺリンガー社だけが本シュリンクで他社は型押し併用シュリンク革で、出来上がった製品になったら新品製品時は分からない。でもトラ模様に寛容な欧州とそれ以外を分ける理由は分かる気がする。革本来の原皮の素性が分かる本シュリンク革か、トラも隠れシボも均一になる型押し併用シュリンク革の方が良いのか。ル・ボナーはトラがあっても、厚みを残したままもちっとした柔らかさに使い込むとなる本シュリンク革を選んでいます。

型押し併用シュリンク革なら原皮の革質に影響されずに、トラ模様も隠れシボも型押しに準じてシュリンクされるので細かいシボ部分が端まで続き取り都合も格段に良い。しかし熱を加える型押しだと長く使い続けるとシボは平になり消える。また革の質が製品になった時に原皮の素性が見分けられない。本シュリンクのシュランケンカーフは、革の中央一番丈夫で伸びにくい部分に深いトラ模様がある革です。街をウインドショッピングすると有名ブランドでも革質に影響されない厚化粧の革製品ばかり、特にクロームなめしの革を使った製品はそれが顕著。

ただ、ヨーロッパの原皮も温暖化の影響で質が落ちている。原皮は寒冷地で育った牛の方が繊維が締まっていて質が良い。地中海沿岸地域はヨーロッパでも暖かい地域の為、イタリアなどでは比べて涼しい地域のフランス原皮を使って革にしている。そのフランスも今は暑くなって厳しい状況。厳選原皮のシュランケンカーフですら20年前に比べるとシボが細かい革は少なくなった。ヨーロッパでもまだ寒いバルト海沿岸国の原皮なら質が良いだろうとオリジナルで作っているのが「デンマークソフトカーフ」。デンマークのカーフ原皮をウエットブルー(初期クロームなめし)状態で輸入して、技術力のある日本のタンナーでボンジョルノ松本の希望仕様で仕上げた革。
革が好きでこの仕事を50年続けられた。もう長くはない職人人生、納得のいく素材使って製品作り全うしたい。なので世界的にも稀有な本シュリンク加工の為、トラ模様も強調されるシュランケンカーフ使っているので、トラがどうしても嫌という方は、他社の型押し併用シュリンク革の製品をお勧めします。本来原皮の最も伸びない丈夫な部分にあるトラ模様を隠す後加工を加えない革をル・ボナーは使ってます。ブッテーロもデンマークソフトカーフもトラ模様あります。シュランケンカーフは本シュリンク加工なので原皮段階よりトラがより強調されてしまいます。その事ご理解頂きたく思います。
より良い皮から最高を目指す革への加工技術、揺るぎない姿勢のペリンガー社と、人間が食した後の皮を無駄にしない文化に感謝です。(ハミ談)




Leave a Comment