
太ダレスも1本を除いて出来あがろうとしています。
この仕事だけに集中出来なくて完成が遅くなってしまいましたが、ようやく一段落。
今回はクリスペルカーフの黒の1本を除いて、あとは全部ブッテーロ革での注文でした。
ル・ボナーで使っているどの革も良いと思って入手していますが、どの革が一番好きかと言われると私はやはりブッテーロが好きです。

ル・ボナーで定番で主に使っている革は、イタリアのタンニン革のワルピエ社のブッテーロとバタラッシー社のバケッタ製法で作った革たち。それとドイツのペリンガー社のクローム革のシュランケンカーフやクリスペルカーフ。どの革も魅力的な革だけれど、その中でも私がブッテーロが好きなのは、どの革より会話出来る革だと感じる事。
ル・ボナーで扱っている革の中で最も傷つき易い革。
でも使い手の接し方で、特別な表情に変わってゆく革。
ヨーロッパ以外の国の成牛の原皮は、背中とお腹部分で裁断した半裁と言われる形状。
ヨーロッパではお腹で割いて、お腹近くのエンと呼ばれる伸びる部分は原皮段階で切り落とし、そして性質の違うお尻まわりと背中部分に分けてある。タンニンなめしの革は大部分ショルダー(背中)部分の方を使う。

現在世界的に革の質が低下しているように思う。
大規模なタンナーは特に質より、消費サイクルを考えた革作りが横行している。
その状況は、良い革を今までは作ってきたヨーロッパの名門タンナーにおいて顕著だ。
そんな時代でも、誠意を持って革作りしている小さなヨーロッパのタンナーの革を、主に使いたいと思っています。そんな中でもブッテーロを作っているワルピエ社は特に小さなイタリアのタンナー。そのワルピエ社が愚直なまでに手抜きせずに作っているタンニンなめしのオイルレーザーがブッテーロという革です。
タンニンなめしの革は主にイタリア製を使う理由は、世界でも唯一ベジタブルタンニン100%でなめした事を認定する機関があり、ピンキリの差強烈なイタリアなれど安心して使える。ル・ボナーが使うブッテーロもミネルバも100パーセントピュアタンニン認定革です。つまりイタリア革のピンの革です。

お店を神戸で始める前、私たちは作った鞄を卸していた。その頃は国産のタンニン革を使っていた。ヨーロッパの革は高価で使いたくても使えなかった。今はヨーロッパ皮革を使って作れるようになった。それも厳選して妥協せずに。
それは作り手にとって何よりの幸せ。
革の寿命が短い事で使えなくなるのは寂しい。
部品その他の修理は可能だけれど、本体部分の革が再生不能状態になると直せない。

妥協なしに気に入った革を使って作れる事の幸せを、
太ダレスのフレームを本体に手縫いしながら思うボンジョルノでありました。
センター留めのダレス,個性的で凄くいい感じですね。使い勝手も良さそうです。よく手入れをしたダレスを見せてもらって,ますますブッテーロに魅力を感じています。においも大好きですし。
Re: orenge さん
ブッテーロという革が好きです。ル・ボナーのメンズのメインレザーであり続ける革です。
ル・ボナー松本