
現在、定番の太ダレスの裁断中です。
今回太ダレスは12個作りますがメインはブッテーロを使ったモノですが、デッドストックの良き時代のイタリア、フラスキーニ社のカーフ、ムスタングと、今ボックスカーフでは世界ナンバーワンの出来だと私は思っているドイツ、ペリンガー社のクリスペルカーフでも作ってみます。
フラスキーニ社のムスタングは生後六ヶ月のカーフをマットな感じで仕上げています。今回はベージュ色のモノを使いますが、カーフなのに半裁です。普通カーフは下の写真のクリスペルカーフのようにお腹で割いただけの状態なのですが、作業が楽だからと半分にしてなめしています。そういったところ、イタリア人はいい加減です。でもなめしは素晴らしい。イタリアンカーフ独特のしっとりしたきめ細かななめしは現在のイタリアのクロームなめし革ではなかなかお目にかかりません。

クリスペルカーフは生後3ヶ月までのベビーカーフを使い、ボックスカーフに仕上げています。
クロームなめしの牛革では最高とされているのがボックスカーフです。カールフロインベルグ社のボックスカーフがドイツ本国で生産されなくなってからほんとに素晴らしいボックスカーフは見れずにいましたが、この革は素晴らしいボックスカーフです。
何度も繰り返しなめされのがわかる、ゴムのような跳ね返りが感じられる質感。染色も深みがあり独特の光沢を見せます。タンニンなめしの革とは違うクロームなめしなりの独特のなじみを将来見せることを約束してくれる上等ななめしです。
でも値段も素晴らしく高い革です。コードバンより高いのです。イギリスのブライドルレザーの倍近くする値段。なかなか定番の革として使うには躊躇があります。
今こうして良い革、好きな革だけを使ってカバン作りが出来る環境に居れて幸せです。
この2種類の革以外は私の大好きなブッテーロを使って作りますが、その中の一つは青のブッテーロに黄色の糸を使って組上げます。去年もネイビーのブッテーロで太ダレスを作られた、神戸生まれで今は転勤で東京に住んでおられる
モルトウイスキーと葉巻の香りを愛するNさんの注文。神戸人はシックな中にも綺麗な色を加えるお洒落を好みます。そんな太ダレスに今回はしたいとの希望でこの配色の太ダレスです。どんな太ダレスになるか、私も楽しみです。
裁断が終わったら、漉屋さんに厚みを指定して割ってもらいます。私達はいつも割り漉きは大阪の山西さんにお願いします。今まで何軒かの職人さんに割り漉きをお願いしてみましたが、山西さんが一番私達にはあっています。小物用の繊細な漉きも丁寧だし、独立系の私達の少ない量の仕事でも嫌がらずしていただけます。感謝しています。
その間、月に一度のベルトも今回は多いし、最終サンプル作りもせいています。オーダーも何点かあるし9月後半から10月一杯今年で一番忙しい時期になりそうです。気合をいれてがんばりまーす。
ミーハーなんで、デッドストックと聞くと、耳がぴくぴくと反応してしまいますが、今は我慢のしどころ。
私の注文のボストンを首を長くして待っている状態なので、今回もパスなんですが、
革の魅力はすごいなあとつくずく思います。
思い出せないのですが、いつの頃から革が大好きで、革ジャンやベルト、バッグ、靴など散財しながら勉強していくものですね。
本当にいい革は、手触りや匂い馴染み本当に楽しみがたくさんありますね。
たぶんそういう意味ではオタクでしょうね。
そしてル・ボナーさんへ辿り着きました。
でもクリスベルカーフで、グラスなんて作られたら、最高でしょうね。
素人考えですけど。
だらだら長くなってすみません。
イタリア旅行を目指して、お体に気を付けてお仕事頑張ってください。