
現在クロコダイル革で小さなアタッシェを作っております。小さくても手間は同じです。板と一緒に手縫いしています。板と革を一緒に縫い上げることで強度が数段増します。ただ相当に体力仕事です。
角の革当ての部分を手縫いするのは特に大変で、一か所縫い終わるたびに指先にしびれに似た疲れを感じます。それが8か所あります。特に小さなアタッシェなのでステッチの目も一寸11目で縫っているので、菱を切る時も神経を使います。一寸8目や6目で手縫いだったらどんなに楽であったか。大きなアタッシェであれば一寸8目でも全然おかしくないんだけれど。
アタッシェは手間のかかるカバンなので高価になってしまいます。クロコのような高級皮革を使うとなおさら高価になります。ただ箱に革を張り込んで縫い上げるアタッシェは革の弾力性を必要とする部分が取っ手ぐらいなので、次世代まで残すことのできるカバンです。そんなことを思うと仕事にも気合いが入ります。一針一針縫い上げてゆきます。アタッシェは私の好きな鞄の一つです。しんどいけれど。

仕事が一段落したら一服。私の吸う煙草は普通のと少し違う。葉巻を煙草サイズにしたシガリロ。シガリロは煙草より相当高価。ほんとはダビドフが美味しいと思っている私ですが、20本入り2500円は高過ぎる。そのため探し出したシガリロがダビドフのB品のジノ。ダビドフに比べたら安いといっても1箱1000円、紙巻き煙草に比べると高価であります。少し荒さの目立つ味だけれど、1000円クラスのシガリロの中ではピカ一です。私はアルコールを嗜まないから、その分煙草ぐらいはと勝手な理屈をつけて高い煙草(シガリロ)を楽しんでおります。
喫煙者は肩身の狭い世の中だけれど、皆様に出来るだけご迷惑をかけないようにしながら吸い続けさせていただきます。しかしこの日本語の注意書きはいけません。せっかくのケースデザインが台無しです。外国の注意書きのように「死ぬぞぉ~!」の方が全然いい。
ライターはダンヒルのオイルライター。ガスライターではなくて1940年代にダンヒルも作っていたアンティークなオイルライターです。いい味出しています。火をつける時の感触が良い感じ。

昨日時計ライターのN氏とご一緒に来ていただいたカメラマンのT氏から荷物が届きました。開けてみると中からT氏撮影の冊子がいっぱい。その中に私の大好きな独立系時計師のフィリップ・デュフォー氏とダイニエル・ロート氏の制作の日々を撮り続けて写真集にしたT氏の力作も入っているではないですか。この写真集手に入れたいと思っていたのです。もらったから言うわけではないけれど、ポエムを感じる写真ばかりつづきます。美しい写真集です。
時計と卓球の写真を撮らせたら日本屈指のカメラマンのT氏はもうすぐ60歳近い年齢を感じさせない、子供の心のまま仕事を楽しんでおられる素敵な人物です。
T氏のブログはそんなT氏の日々を隠さず綴っていて面白くて読みいってしまいました。
何事も夢中でやっている人たちは素敵に輝いています。そしてそれが形になって残る仕事をしている者たちは幸せ者だと思う。
「クロコダイル」のある生活っていいですね。やめられそうもないです。