盆の休みが始まろうとする昨日の日曜日は、沢山のお客様の来店があり、接客で忙しかった。
その上、ブログを楽しく見ていますよと言って来られるお客様が多くおられるので、
自然と会話も多くなり、革・鞄以外の話でも(いや以外の話の方が多いかも)、
盛り上がったりしてしまうル・ボナーであります。

横浜から、私にアンティーク万年筆菌を感染させた張本人のOさんが来られた。
お盆休みを実家の大阪で過ごすため、家族で帰阪されていて、
唯一自由に過ごせる1日を利用して来店していただいた。
そして私が見たいと願っていたウォーターマンの№7を持って来ていただいた。
1920年代の、ウォーターマン全盛期の代表的な万年筆です。
万年筆の軸に使われているエボナイト素材は黒か赤の淡色しかなっかった時代、
それを混ぜて作ったリップル模様のエボナイトは画期的で、大ヒットした。
ユーロボックスで調整・仕上げたOさんのウォーターマン№7は、
艶やかで、新品のような輝き。90年前の万年筆とは思えない。

ペン芯もリップル模様のエボナイトを使っているので、特別な味わい。
書き味を試させていただくと、予想外の書き味に驚き。
アンテーク万年筆に共通する、薄いペン先の頼りない感じがないのだ。
不思議なほど安心感のあるまろやかな書き味。
調整することで、普段普通に使える万年筆に変身している。
このウォータマン№7は凄く良~い。
そんな風に万年筆談議に花咲かせている間、お客様がい~ぱいになった。
そして鞄のセールスをせずに私とOさんは、万年筆趣味普及に尽力?したぁ~。
きっとそのうちの何人かは、pen and message.に行くでしょう。
そして私やOさんのような重度感染者は、ますます深みにはまってゆく。
今は抑えて聖人君子面している(まだ1ヶ月たっていなぁ~い)私ではありますが。

ル・ボナーは時計屋さんではないのですが、なぜか面白い時計が集まってきます。
この2本の時計も大変魅力的で、欲しいと思っているお客様が何人もおられたのですが、
50年ほど前に製造された時計であることに抵抗があるようで、一歩が踏み出せない。
でもその一歩を踏み出してしまったらさあ大変です。
現行の時計が、価格に見合うだけの魅力がないと思っておられる多くの時計好きは、
アンティーク時計の深みにはまることでしょう。
私は中古であることに全然抵抗がなくなっています。
と言うより、合理的な経済システムから生み出される現行の時計たちより、
職人技が随所に残っていた時代の工業製品の時計たちに、より魅力を感じています。
特に写真左のヴィーナスcal170のムーブメントが入った、
スイス・レオニダス社製の、18金無垢ケースのクロノグラフは魅力的です。
より安く魅力的なアンティーク時計を購入することに価値を見出す、
親しい時計ライターのN氏に鑑定?してもらいましたが、14万はお得な買い物ではないかと。
私は欲しい。でも只今金欠ボンジョルノだし、
いつもは寛容なハミも、許していただける状況ではありません。
お金に余裕のある顧客の誰かさんに、一時所有してもらって、
へそくりが貯まって、ホトボリも覚めた?段階で譲り受けるなんていう、
虫の良い作戦も画策し、賛同する優しい顧客もおられたのですが、それはいくらなんでも。
誰か早く手を上げないかなぁ~。
そうすれば、諦めもつくのだけれど。

そんな風に苦渋の決断をする私のところに、
またまた大阪の某時計屋さんが、持って来たぁ~。
前述と同じヴィーナスcal170のムーブのクロノグラフ。
耐震装置がないタイプのcal170なので、1955年以前に作られたステンレスケースの品です。
程々にやれた風情も味と思う私には、これも大変素敵だ。お値段を聞くと7万円。
この時計屋さんは、私を困らせ続けるぅ~。
多くの人にはガラクタかもしれないけれど、自身の趣味・嗜好を満足させる、
時を経ても輝き続けるモノが好きです。しかしいっぱいはなくてもいいとは思ってはいるのですが。

1年ほどアメリカに滞在していたAさんが戻ってきた。
10ヶ月ほどの滞在期間中にアンティーク時計を20本ほど入手したようです。
写真はその一部ですが、呆れましたが、その気持ちに悲しいかな共感してしまう私です。
まだ金欠なんですね。予想以上にアル君の基盤交換が効いているということですねえ。それにしても「誰か早く手を上げないかなあ~」という気持ちは良くわかります。同様に金欠の私ですが、先日、マニアの間ではよく知られているブランドながら、全く見たことも聞いたこともないヴァージョンのヴィンテージライターを見せられ、他人が手をあげる前に自分が手をあげていました。しかも破格の安さ!売り手がプロでなかったのが幸いしました。モノ好きを困らせる人々から身を隠そうとしても、そういった人々はモノ好きを追いかけまわすようです。おかげで一層金欠になりました。困ったもんだ…。