フルハルターの森山さんから荷物が届きました。
イタリアに旅立つ前日、私はタクヤ君と一緒に、東京の大井町にあるフルハルターにお邪魔しました。
前々からの念願であった、世界の樫本氏から頂戴したKENSAKI万年筆をフルハルターの森山さんに研いでもらうためです。その森山マジックの洗礼をうけたKENSAKIが手元に戻ってきました。早速書き味試してみるとウゥ~ンビューティフル。
森山さんのペン先調整技術は無二のものです。多くの万年筆好きの皆様の、森山さんに研ぎ調整してもらった万年筆で何度も試し書きさせていただきましたが、その滑らかな書き味は特別なもので、甘美な快感すら伴う書き味でした。その書き味の万年筆を私も手に入れることができました。
今日からKENSAKI万年筆フルハルタースペシャルとTAKUYAのKENSAKI専用グリマルディーは一心同体で、私にとってお守りのように、首からぶら下げていることでしょう。
フルハルターは小さなお店です。接客スペースは2坪ないほどの狭さ。しかし特別なお店です。
私たちがお邪魔している間も、来店客は後を絶たない。色々な万年筆を見せていただいたけれど、どの万年筆を選んだとしても、森山マジックにかかればすべて特別な万年筆になる。
フルハルターの常連客で、ル・ボナーでもバーガンディーの学手風ブリーフケースを購入されたSさんが、限定品のアウロラのレッドがまだフルハルターにはありましたよという誘惑に心揺れていて、現物を見せていただくと、これが良い。色気抜群、バランス特別、それを森山さんに研いでいただければ、マイアルファのセカンドシートにそっとレッドを置くと完璧イタリアン?。しかし値段が高ぁ~い。躊躇しながらそのレッドを愛でていると、同席していた赤の他人のお客様がペリカンやめてそのレッドを買っちゃった。私は悔しいような、ホットしたような。

接客テーブルの上に茶色に染色された半透明の万年筆があった。スケルトンなので見える、変なインク吸入方式で、書いてみると特別な書き味の極太。これが画伯と会うたびに「買わなければ後悔しますぞ」と言い続けていた
パイロットカスタム823プランジャー コースニブです。画伯にたぶらかされないぞと思っておりましたが、実物見て試し書きしてみると、、、、、、買ってしまいました。完全透明スケルトンタイプのものを。

プランジャー(真空)式インキ吸入方式は現在あまり使われていない吸入方式で、幻の万年筆、イギリスのオノトが有名です。水鉄砲を逆にしたような吸引方法でインキを一気に大容量タンクに吸入します。スケルトンだからその様子が見えて、これは面白い。

それに特製のコースニブ(極太イリジュウム)がついているので、森山マジックによっていかようにもペン先を砥ぎあげてもらえる。せっかくのコースニブなのだから、わたしは極太書き用に研いでいただきました。届いた823で書いてみると、天にも昇る書き心地。大容量のタンクに入ったインキが、潤滑なインクフローを約束し、森山さんに研いでいただいた極太イリジュウムが滑らかで、筆で書くような特別な書き味を提供していただける。この滑らかさは今まで私の所有している万年筆の中で1番だし、クロスポイントや団子3兄弟やふでDEまんねんなどの万年筆の神様、長原さんの考案した特殊なペン先は別にして、1本のペン先でイリジュウムを使って書く万年筆の字の太さは、今まで見た中で最も太く書けます。
茶色に染色されたタイプが上等に見えて、それでも十分中の機構は見えるので良いと思ったのだけれど、知り合いにスケルトンタイプの万年筆好きがいて、その彼に「エヘヘ、良いでしょう?」と自慢するには完全透明のタイプの方が効果抜群と思い選んでしまいました。完全透明だとインキ色によって色々な表情も楽しめるし。
ペン先を研ぐ達人、フルハルターの森山さんは、私の尊敬する職人の一人です。ペン先を研ぐ技術を特別な領域まで持ち込んだ稀有な人物です。私は万年筆がますます面白いと思った次第であります。
松本様ご夫妻さま
先日は長々とお邪魔してお仕事の邪魔をしてすみませんでした。
初めてお邪魔させていただき、ご夫妻の素敵さに、私も一途に仕事を頑張り良い年輪を重ねて、お二人のような大人になりたいと思いました。
まだまだ修行が足りない未熟者ですが、今後とも宜しくお願いします。
本当はブリーフキューブとフルレザーのショルダ-も欲しかったのですが、またお金を貯めてからお願いします。