ル・ボナーの一日

「カラヴァッジョ」巡礼〜

2020年02月21日

ドバイ経由で行き21時間かけてハミとシチリアの南に浮かぶマルタ共和国へ行って来ました。色々観光も楽しみましたが最大の目的は、カラヴァッジョの残した最大サイズ361×520cmの絵画「洗礼者聖ヨハネの斬首」を見る事。

私は絵画に対してそれほど強い関心がある訳ではないけれど、この画家の絵だけは惹きつけられた。そのプロフィールは知らずに初めて出会ったのがミラノのアンブロージアにあった静物画。腐りかけた果物のリアリティーに釘付けになった。その後この画家の人生を知って仰天した、こんな野獣の狂気を持った天才画家を知ったのは初めて。内に秘めた狂気は多くの芸術家が内包しているとは思うけれど、こんな野蛮な狂気を持った画家は知らない。その狂気が緻密に描くリアリティな宗教画に如実に表現されている。

その後この画家の絵を実際に見たくてローマ、フィレンツェ、ナポリ、マドリッド、パリ、ウィーンへ。今年正月明けにアベノハルカスのカラヴァッジョ展にも行った。そして今回マルタへ。

「洗礼者聖ヨハネの斬首」

うわぁ〜絵に近づけなくしている。筆のタッチが確認できないのが歯がゆい。でもでもこんなカラヴァッジョ初めて・・・・パラティーナで見た世にもおぞましいエンジェルでもバチカンのリアルなキリストでもない、澱んだ空気に包まれた静寂。狂気が前面に出てない静寂をカラヴァッジョの絵から感じたのは30作以上見た中で初めてかもしれない。ここまで来た甲斐十分。

もう一作「執筆する聖ヒエロニムス」もまた穏やかなカラヴァッジョ、こちらは近くまで寄れるので筆のタッチも確認出来る。丁寧に絵具が重なっている。マルタでのカラヴァッジョが頂点かもと感じた私。

地中海に浮かぶ小さな島国マルタに来てカラヴァッジョの最大傑作を見る贅沢を満喫。これからもカラヴァッジョ巡礼の旅は続くだろう。

Le Bonheur (23:32) | コメント(0)

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