ル・ボナーの一日

レディーパトリシアの帰還

2011年04月21日

今週末には東京・恵比寿で第11回ペントレーディングin東京がある。私も少々万年筆には興味を持っているので、お客側で行きたいという希望は強く持っているけれど、小売業を生業としている身である私はなかなか都合がつかない。来年は出展者の立場で再び行けるようにしようと画策している。注目はアウロラのカルロ・ゴルゾーニ。いつか〜。

そのペントレの主催者のWAGNERの森御大が先週の土曜日に突然ル・ボナーにフラボナブリーフケースにいっぱいのカメラとレンズ?を見せびらかすため入れて来店された。しかし本題は吸入部分の修理をお願いしていた1930年代のウォータマンの「レディーパトリシア」をわざわざ渡すために。無料で直して頂いた上に持って来て頂けるなんて恐縮至極。そしてその場は万年筆ではなくてカメラ談義に花咲かせた。


修理完了した80年ほど前に製造されたレディーパトリシアに、インクを吸入するためサイドフィラーを引き上げると、修理前とは違い驚くほどのテンションがかかり気持ち良い吸入。益々この可愛い万年筆に愛着が増す。この万年筆は昨年ベルリンの蚤の市にて30ユーロで入手した品。セルロイドの色合いと鍛造ペン先が生む独特の薄い鋼のような書き味に魅了された。吸入部分も製造時の元気を取り戻し、輝き増したコンパクトなビィンテージ。





現在では作られなくなった鍛造のペン先。その鍛造ペン先の中でもこの時代のウォータマンは特別薄いように思う。その薄さが独特の書き味を生み出している。現行品のペン先では不可能な私好みの危うい書き味にフローも復活して最高です。

それにしても日本という国は良い。古い万年筆を修理して頂きながら、こんな風に安心して使用出来る国は他にはないんじゃないかと思う。森さんたちのような方々が居て下さるおかげ。でも壊れても修理して使い続けられて捨てないから数を増やす必要はないはずだけれど、数はなぜか増殖し続ける。


これでいつも携帯しているA7サイズの手帳カバーに収まる万年筆は、この修理終えたウォータマン・レディーパトリシアの指定席。素敵な佇まい。そして素敵な書き味。

Le Bonheur (22:19) | コメント(0)

Leave a Comment

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。

アーカイブ