
久々のハードなメンズバッグの量産もあと少しで終わり。
ル・ボナーの太ダレスはオーソドックスな形のダレスバッグ(ドクターバッグ)ですが、縦と横のバランスが独特です。一般のブリーフケースには少ない四角に近いバランスなのです。
かっこ悪く見えるギリギリまで縦を高くしています。これはダレスの場合、上がしぼんだ形でマチも内側に入れ込む形をしているため、見た目より容量が少なくなってしまうまうので、マチの幅がしぼんでゆく場所より下の部分で、B4書類が収まるようにしたいためです。
余った上の部分にセーターなどが収まります。このサイズバランスはあまり見ないはずです。
今まで使う革を1,8ミリの厚みに割って本体を作っていましたが、革の質感が薄っぺらく感じるという意見があったので、今回からは厚みを2ミリで作りました。そのため厚み感は増したのですが、少し重くなりました。それでも同じサイズの他社のダレスバッグに比べれば
まだまだ全然軽いダレスバッグです。

トップの枠を手縫いでつければ完成。
ミシンでも枠を縫いつけることは出来なくはないのだけれど、しっかりと枠を縫い付けたいので手縫いします。
手縫いという作業は、ミシン縫いに比べて時間は途方もなく消費しますが楽しい作業です。
コストを考えなければ、カバン作りの作業の中でこれほど楽しい作業はない。
カバンの手縫いは、靴や洋服と違い見せる手縫いなので、縫う職人の個性がでます。手縫いのステッチを見れば、縫った人の性格判断がある程度できるくらい違いがあります。
面白い作業です。
先日、東京メトロ虎ノ門駅で、ル・ボナーの黒のダレスをお持ちの紳士を見かけました。自分よりお若い方でしたが、なぜか尊敬の目で見てしまいました。鞄が持ち主の品格まで決めるとなると、矜持を正さざるを得なく、思わず肩に力がはいってしまいました。