
7年間365日御主人から離れることなく使い続けられた、
ブッテーロ革で作ったブリーフケースが里帰りしました。
お手入れらしいお手入れは一度もすることなく、7年間毎日肌身離さず使いつづけたそうです。
気に入って使って頂いて、とても嬉しいことなのだけれど、
相当厳しい状態であります。
同じ形で新しく作ったのを期に、やっと修理修繕お手入れのため戻ってきました。
水拭きだけでもしていたら、ここまで老化しないで済んだのだけれど。
ご主人の仕事上、工事現場などにも頻繁に連れて行かされただろうから、
いっぱい土埃とか木屑とかも吸っているはず。汗に含まれる塩分も。
これ以上ない過酷な条件で7年間使われたカバンです。
普通のオフィスワークなサラリーマンの人が普通に使う場合であれば
この状態になるには、20年近くかかるはずです。
ブッテーロは抜群な生命力を持った革ですから。

前ポケットのフタは完全に死んだ状態です。革はこの状態になると、復元は不可能です。
この後表皮がぼろぼろ剥がれていきます。一巻の終わりです。
こうならないようにするには、お手入れが大事。なってからだと遅い。
で、この前ポケットのフタは新しく作って交換することにします。
最初は違和感あるけれど、数年すれば馴染んじゃいます。

あと本体フタ部分が、ショルダーのナスカンがぶつかり続けて破れてる。
ここは少しくり抜いて、縫い直して、磨き直せば、いけます。
修理終了後ばっちりお手入れすれば、
新しく作った同じ形のブッテーロのブリーフケースと交互に使えば、
あと倍の年月は使えるはず。
革のカバンは、時計や万年筆のように大事にすれば次世代まで残るモノではありません。
でも使う人と一緒に馴染み、時間をかけて滅びの美学を楽しむモノです。
私たちが作ったカバンは、私たちが手を加え少しでも長く使い続けて頂きたい。
7年間、毎日ご主人の傍にいてくれたカバンに、ありがとう!
7年間毎日使う、或いは酷使するとこうなるものかと大変興味深く拝見しました。滅びる一歩手前だったのですねえ。あらためて革は生き物だという認識を深くしました。でもここまで使ったら絶対手放せないよなあ。持ち主の7年間の苦労も喜びも全てこの鞄は傍で見てきたわけですからね。私もブッテーロのブリーフケースをル・ボナーに里帰りさせて以来連日使ってます。時々水拭きしながら。そうそう、近々伺います。ボストンが必要なので。年末まで取り置いてもらう約束の2個のブツの内の1個も無事落手したので見せびらかしも兼ねて…。