ル・ボナーの一日

7年間肌身離さず使っていた鞄の修理

2008年07月15日

%EF%BC%97%E6%9C%88%20037.jpg 7年間365日御主人から離れることなく使い続けられた、 ブッテーロ革で作ったブリーフケースが里帰りしました。 お手入れらしいお手入れは一度もすることなく、7年間毎日肌身離さず使いつづけたそうです。 気に入って使って頂いて、とても嬉しいことなのだけれど、 相当厳しい状態であります。 同じ形で新しく作ったのを期に、やっと修理修繕お手入れのため戻ってきました。 水拭きだけでもしていたら、ここまで老化しないで済んだのだけれど。 ご主人の仕事上、工事現場などにも頻繁に連れて行かされただろうから、 いっぱい土埃とか木屑とかも吸っているはず。汗に含まれる塩分も。 これ以上ない過酷な条件で7年間使われたカバンです。 普通のオフィスワークなサラリーマンの人が普通に使う場合であれば この状態になるには、20年近くかかるはずです。 ブッテーロは抜群な生命力を持った革ですから。 %EF%BC%97%E6%9C%88%20040.jpg 前ポケットのフタは完全に死んだ状態です。革はこの状態になると、復元は不可能です。 この後表皮がぼろぼろ剥がれていきます。一巻の終わりです。 こうならないようにするには、お手入れが大事。なってからだと遅い。 で、この前ポケットのフタは新しく作って交換することにします。 最初は違和感あるけれど、数年すれば馴染んじゃいます。 %EF%BC%97%E6%9C%88%20041.jpg あと本体フタ部分が、ショルダーのナスカンがぶつかり続けて破れてる。 ここは少しくり抜いて、縫い直して、磨き直せば、いけます。 修理終了後ばっちりお手入れすれば、 新しく作った同じ形のブッテーロのブリーフケースと交互に使えば、 あと倍の年月は使えるはず。 革のカバンは、時計や万年筆のように大事にすれば次世代まで残るモノではありません。 でも使う人と一緒に馴染み、時間をかけて滅びの美学を楽しむモノです。 私たちが作ったカバンは、私たちが手を加え少しでも長く使い続けて頂きたい。 7年間、毎日ご主人の傍にいてくれたカバンに、ありがとう!

Le Bonheur (21:08) | コメント(6)

Comments

  1. pretty-punchan より:

    7年間毎日使う、或いは酷使するとこうなるものかと大変興味深く拝見しました。滅びる一歩手前だったのですねえ。あらためて革は生き物だという認識を深くしました。でもここまで使ったら絶対手放せないよなあ。持ち主の7年間の苦労も喜びも全てこの鞄は傍で見てきたわけですからね。私もブッテーロのブリーフケースをル・ボナーに里帰りさせて以来連日使ってます。時々水拭きしながら。そうそう、近々伺います。ボストンが必要なので。年末まで取り置いてもらう約束の2個のブツの内の1個も無事落手したので見せびらかしも兼ねて…。

  2. ノブ より:

    これも一つの付き合い方かもしれませんね。必死に生きてきた証のように見えます。里帰りをさせないで捨てられていたら寂しいですが、持ち主も手放せない愛着を感じていたのでしょうね。ヨーロッパを旅行すると古い汚い車が多いのですが、持ち主は愛情を持って付き合っているそうです。大切に使うということの意味は深いと感じる写真でした。

  3. ル・ボナー松本 より:

    pretty-punchan さん
    お久しぶりです。お仕事忙しくされていたのでしょうか?。それで例のブツの1個も、入手できたのかな。是非見せてください、そのブツを。
    買わないでいいですから、遊びにきてください。買っていただけるならなお嬉しい。
    私も馬鹿馬鹿しいほど万年筆が増殖しています。お互い死ななきゃ治らない。

  4. ル・ボナー松本 より:

    ノブ さん
    手紙届きましたよ。ワグナーの面々と比べては基準がおかしいです。それにあの人たちは年期が入ってます。ノブさんは1年ほどであの品揃え。重病です。
    ブログのカバンですが、普通この状態にはそう簡単にはなりません。お手入れ名人のノブさんの革カバンもいつか朽ち果てますが、こうは絶対ならないと思います。
    でも持ち主は本当に気に入っていたようで、このカバン以外を持ち歩くなんてことは考えられなくて、同じ形で新しく注文し出来あがったので、やっと里帰りすることができました。ベストを尽くして復元してみます。持ち主が驚き喜ぶ顔を見ることが出来れば、大満足です。

  5. ノブ より:

    復元したら是非アップしてください。作っていただいた方に、修理していただける事は、昨今の日常生活では味わえない贅沢ですね。20日にWAGNERの定例会があり、オリジナル万年筆が披露されるそうです。国産は久々の購入ですので、書き味、意匠など楽しみです。最近購入した伊太利亜万年筆をインプレッション広場に投稿しました。

  6. ル・ボナー松本 より:

    ノブ さん
    ワグナーのオリジナル万年筆楽しみですね。購入するんですね。
    インプレッションに投稿した万年筆って、デルタですか?。頑張っていますね。私は少しの間頭を冷やすことにいたします。向こうから寄って来た時は別ですが。

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