
予期せぬ出費があり、街を彷徨すると欲しくなるお宝に出くわす可能性があって
それはまずいと考えたからではないのです。
今日は休日でしたが、工房の方だけ明かりを点けて、仕事に励んでおりました。
太と細の両ダレスの手縫いをしておりました。
太ダレスは私が12月恒例の仕事として作っていて、
ず~と本体とトップのフレームは手縫いでしたが、
細ダレスはここ3年ほど、東京・足立の名人鞄職人さんにお願いし、
菱目を開けて、手縫い風にミシンで縫って頂いていました。
多くの名人と呼ばれる量産鞄職人は、技術はあっても、
今までやったことのない事に対して拒む方が多い。
足立の名人は、新しいことにも楽しそうに挑戦して下さる。
本当に素晴らしい技術を持った量産鞄職人です。
足立の名人には染料でのコバ処理に挑戦して頂いています。
その他にも色々、独立系鞄職人の非効率な技術だけれど、
既存の量産鞄にはない味わいを生み出す技術を残しながら、
数作る方法を工夫して頂いています。
それで、ル・ボナーの代表的なメンズバッグの細ダレスも、足立の名人にお願いしていた。
ただ手縫いは量産の場合は難しく、工賃換算すると高すぎるし、今までしたこともない。
手縫いのメリットはしっかりステッチを絞ることが出来て、
通常ミシンで縫うステッチの太さより、倍ほどの太さでも、
絞るので同じ太さに見えます。
細いフレームを使うル・ボナーのダレスは手縫いによって、
強度を加えることが出来ると考えています。
荷物を入れると相当重くなる太ダレスは当然手縫いでしたが、
細ダレスは十分ミシンでも変形を防げると考え、ミシンで縫っていました。

私は手縫いに対してあまり強いこだわりを持っていない鞄職人です。
ミシンだと1分で縫える部分が、手縫いだと1時間かかってしまいます。
当然その分価格に反映します。
総手縫いが価格に見合うメリットがあるかというと、私自身はないと思っています。
ただ強度補強という部分で、負担のかかる部分の手縫いは大いにメリットがあります。
価格とバランスとりながら、補強の意味で手縫いもするル・ボナーです。

ヨーロッパ皮革高騰もあり、トップを手縫いする細ダレスを前提に、
価格の見直しをした結果、今回から税込126,000円での販売となります。
手縫いは私の担当です。いっぱい縫わないと。
本体とフレームを手縫いすると変形しにくくなるというのが最大のメリットですが、
それと鞄全体がふくよかなフォルムになります。
ブッテーロ革の黒・チョコ・茶・ワインで作りました。

今回太ダレスの組み上げも、初めて足立の名人にお願いしました。
太ダレスの価格は157,500円です。
今回ブッテーロ革の黒・チョコ・ワインで作りました。
オーダーのお客様の太ダレスは、年末私が気合いと根性で作ります。
型紙は一緒ですが、仕様がそれぞれ違うので、私が作ります。
今回なぜ急遽両ダレスを作ることになったかというと、当然ル・ボナーの代表的なメンズバッグがお店に並んでいないのは淋しいというのもありますが、
親しい同業者の、ケイズファクトリーさんが今秋銀座に出店されます。
是非ル・ボナーのダレスを置きたいと頼まれて、その希望にも沿うという事もあったのです。
フルハルターの森山さんのところで扱っているワイルドスワンズの革製品の会社と言えば、
万年筆愛好家の皆様はご存じだと思います。
東京の万年筆愛好家のメッカ・銀座でル・ボナーのバッグを見れるようになりますよ~!。
私たちが考えた色々なオリジナルな革製品をお店にいっぱい並べるには、
二人だけで作るには限界があります。
自身で作るだけでなく、いっぱい心通う人たちに協力していただきながら、
ル・ボナーの世界を構築していきたいと思っている私たち二人です。
これも刺激的ですね。ただダレスは使い手を選びますね。私には無理です。この錠前は特注の品ですか?