ル・ボナーの一日

休日返上でダレスの手縫い

2008年07月31日

%EF%BC%97%E6%9C%88%20081.jpg 予期せぬ出費があり、街を彷徨すると欲しくなるお宝に出くわす可能性があって それはまずいと考えたからではないのです。 今日は休日でしたが、工房の方だけ明かりを点けて、仕事に励んでおりました。 太と細の両ダレスの手縫いをしておりました。 太ダレスは私が12月恒例の仕事として作っていて、 ず~と本体とトップのフレームは手縫いでしたが、 細ダレスはここ3年ほど、東京・足立の名人鞄職人さんにお願いし、 菱目を開けて、手縫い風にミシンで縫って頂いていました。 多くの名人と呼ばれる量産鞄職人は、技術はあっても、 今までやったことのない事に対して拒む方が多い。 足立の名人は、新しいことにも楽しそうに挑戦して下さる。 本当に素晴らしい技術を持った量産鞄職人です。 足立の名人には染料でのコバ処理に挑戦して頂いています。 その他にも色々、独立系鞄職人の非効率な技術だけれど、 既存の量産鞄にはない味わいを生み出す技術を残しながら、 数作る方法を工夫して頂いています。 それで、ル・ボナーの代表的なメンズバッグの細ダレスも、足立の名人にお願いしていた。 ただ手縫いは量産の場合は難しく、工賃換算すると高すぎるし、今までしたこともない。 手縫いのメリットはしっかりステッチを絞ることが出来て、 通常ミシンで縫うステッチの太さより、倍ほどの太さでも、 絞るので同じ太さに見えます。 細いフレームを使うル・ボナーのダレスは手縫いによって、 強度を加えることが出来ると考えています。 荷物を入れると相当重くなる太ダレスは当然手縫いでしたが、 細ダレスは十分ミシンでも変形を防げると考え、ミシンで縫っていました。 %EF%BC%97%E6%9C%88%20078.jpg 私は手縫いに対してあまり強いこだわりを持っていない鞄職人です。 ミシンだと1分で縫える部分が、手縫いだと1時間かかってしまいます。 当然その分価格に反映します。 総手縫いが価格に見合うメリットがあるかというと、私自身はないと思っています。 ただ強度補強という部分で、負担のかかる部分の手縫いは大いにメリットがあります。 価格とバランスとりながら、補強の意味で手縫いもするル・ボナーです。 %EF%BC%97%E6%9C%88%20089.jpg ヨーロッパ皮革高騰もあり、トップを手縫いする細ダレスを前提に、 価格の見直しをした結果、今回から税込126,000円での販売となります。 手縫いは私の担当です。いっぱい縫わないと。 本体とフレームを手縫いすると変形しにくくなるというのが最大のメリットですが、 それと鞄全体がふくよかなフォルムになります。 ブッテーロ革の黒・チョコ・茶・ワインで作りました。 %EF%BC%97%E6%9C%88%20090.jpg 今回太ダレスの組み上げも、初めて足立の名人にお願いしました。 太ダレスの価格は157,500円です。 今回ブッテーロ革の黒・チョコ・ワインで作りました。 オーダーのお客様の太ダレスは、年末私が気合いと根性で作ります。 型紙は一緒ですが、仕様がそれぞれ違うので、私が作ります。 今回なぜ急遽両ダレスを作ることになったかというと、当然ル・ボナーの代表的なメンズバッグがお店に並んでいないのは淋しいというのもありますが、 親しい同業者の、ケイズファクトリーさんが今秋銀座に出店されます。 是非ル・ボナーのダレスを置きたいと頼まれて、その希望にも沿うという事もあったのです。 フルハルターの森山さんのところで扱っているワイルドスワンズの革製品の会社と言えば、 万年筆愛好家の皆様はご存じだと思います。 東京の万年筆愛好家のメッカ・銀座でル・ボナーのバッグを見れるようになりますよ~!。 私たちが考えた色々なオリジナルな革製品をお店にいっぱい並べるには、 二人だけで作るには限界があります。 自身で作るだけでなく、いっぱい心通う人たちに協力していただきながら、 ル・ボナーの世界を構築していきたいと思っている私たち二人です。

Le Bonheur (19:36) | コメント(6)

Comments

  1. ノブ より:

    これも刺激的ですね。ただダレスは使い手を選びますね。私には無理です。この錠前は特注の品ですか?

  2. ル・ボナー松本 より:

    Re:ノブ さん
    オリジナル錠前プロジェクトは現在も継続中ですが、苦戦していてまだです。これは既存の錠前を使って作りました。オリジナル錠前が出来たら、カブセのブリーフケースも作る予定です。その時はA4ファイルサイズも作りますね。

  3. つきみそう より:

    わぁ~、だれす・・・。
    何が好きって、ダレスバッグほど好きなものはないのです。普通のメーカーの、普通のラインのものですが、ダレス愛用しています。イタリアの気障な櫛形ダレスも、なぜかリサイクルショップに格安であったのを見つけて愛用しております。う~、これはいつかは、ル・ボナーのダレスをオーダーすることになるかも・・・危ない危ない。六甲アイランドには立ち入らないようにしないと。

  4. ノブ より:

    それは悪魔的な品です。想像するだけで・・・。まずいなぁ。
    ブリーフは卒業と決めたのに。

  5. pretty-punchan より:

    4枚目の画像を見たとき溜息が出ました。美しいなあ。「たたずまい」という言葉がくっきりと連想できる素晴らしいダレスですね。「ダレスは使い手を選ぶ」とはまさしくその通りだと思いますが、このダレスはその使い手をもてなす存在だと思います。いいなあ。

  6. ル・ボナー松本 より:

    Re:つきみそう さん
    正式にはフレームトップバッグと言うそうですが、ドクターバッグ、ダレスバッグ色々な言い方をしますが、カブセのブリーフに比べ中が見やすバッグです。ル・ボナーのダレスバッグはフレームをぎりぎり細くしてスマートに見せる工夫をしています。それと正面から見た時、正方形に近い縦と横の比率になっています。背が高いということです。この比率は日本の鞄には少なく、アンバランスになり易いバランスなのですが、ル・ボナーのブリーフケースの特徴です。なぜ?と聞かれたら、いっぱい理由がありますので、今度来られた時にご説明します。怖がらずに来てください。
    Re:ノブ さん
    万年筆好きは鞄好きがなぜか多いのです。その逆もしかり。
    オリジナル錠前が出来たら、ブッテーロのワイン色で、芯材を極力使わないで、革のしなるような質感を生かしたシンプルなかぶせ式のA4ファイルサイズのブリーフ作ろうかなぁ~。錠前はジャーマンシルバー素材の丸か四角?
    Re:pretty-punchan さん
    プンチャンさんもダレスが似合う年齢になられましたので、年末のライターはやめて、ル・ボナーのダレスバッグにしてはいかがでしょうか。日々の通勤は勿論、多い出張時にも使えます。奥様もその選択の方が納得していただけるかと。私のアルファの基盤代で充分お釣りがきます。トホホ・・・

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