ル・ボナーの一日

「ペーパームーン」シーリズで復活を模索

2015年06月19日

私は不器用で決して手先の器用な職人ではない。縫製力もほどほどだし丁寧な方でもない。それでも今まで何とかやれてきたのは、業界の中を七転八倒しながら色々な立場を経験し、秀でた特徴を持った先達たちに出会い、その技術やセンスを吸収出来た事。その中で得たものをル・ボナーの製品にフィードバックする事で今何とかやれている。そんな経験の中で、私がちょっとだけ秀出た部分があるとすれば、パターンの構築力かなと思う。それが一番上手くカタチに出来たのは「ペーパームーン」じゃないかなと思う。

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ル・ボナーにおいて最も売れたバッグはパパスショルダーではなくて、このペーパームーン。もう自重が重いバッグは勘弁とナイロンバッグになってしまっていたけれど、軽ければ本当は革のバッグが持ちたいと思っておられる高齢の方に好評だった。フランスのデュプイ社製のソフトカーフを使った自重430gのB4サイズのショルダーバッグ。これは大手通販会社からミドルエイジ以上のニーズに応えられる革のショルダーバッグを販売する事を前提に作った。

このカタチを発想する時、このしなやかなソフトカーフを活かしたいという思いがまずあった。そして量産する職人さんが数を上げれる縫製も大事。その相反する両方をつなぐのがパターン。しなやかな質感を生み出す折りと緩みをパターンで意識的に生み出した。パターンが複雑なので量産をお願いする組み上げ職人さんは最初出来ないと必ず拒否される。それでも手順を説明し一筆書きのようなコツを伝授して作ってみてもらったら、あ〜ら不思議、スムーズに組み上がる。そして軽くて丈夫。芯を入れた硬い鞄は衝撃を受けた場合にダメージが大きいけれど、柔らかだと衝撃もソフトに受け止める。

その後大手通販会社での販売が終わってからも、このカタチは作り続けていた。しかし、使っているデュプイ社のソフトカーフはもう作っていなくて、持っている在庫も底を尽きつつあった。変わるソフトカーフを探していたけれど、なかなかデュプイのソフトカーフ並みの革はみつけられないでいた。そんな時、ヨーロッパ原皮を使ったソフトカーフを作っているタンナーを知った。そして取り寄せてみると、その素晴らしさに驚かされた。この革ならペーパームーンを作り続けられる。そして念願だったペーパームーンのトータル化も出来る。

ショルダーは革が変わっても変更点なしに今までのパターンで作れるので、まずはA4ファイルを収める事が出来るサイズのリュックを作ってみた。

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革の厚みはデュプイカーフに比べて数ミリ厚くなりましたが、コシはよりソフトなのでもっちりした魅力的な質感が増しました。その柔らかさを支える骨のような役目は、内装に使う厚みのあるイタリアのリモンタナイロンが担います。それでも重さを測ってみると750g。荷物を収めて背をってみると、一瞬背負ってないんじゃないかと感じる軽さ。それでいて素材は高級ヨーロピアンカーフを日本のこだわり持ったタンナーがなめした素敵なソフト革。色は要望した色に染めれるけれど、顔料使わず染料のみなので発色の良い色は作れない。まずは黒、ダークブラウン、グリーン、ネイビー、ワインあたりを作ろかと思ってます。

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背中にも両サイドにも前にもポケットいっぱいです。その上、前ファスナーポケットに500ccのペットボトルをおさめても、出っ張らない容量ががあります。というかペットボトルが収まる事自体、予期せぬ驚き。_DSC3130.jpg

この部分が量産でやれるかが不安。この内縫いをひっくり返て中にウレタン入れた後縫ったショルダー部分の感触が絶妙で、我ながら大変気に入っているのだけれど、これをスムーズに作る(量産レベルにおいて)方法は検討しないといけない。

いつもお願いしている職人さんたちは現在手いっぱいだけど、このシリーズはコバ処理がないので違う方に頼めるので、製産に入ればスムーズにこれらのカタチは登場させる事が出来る。ペーパームーンシリズはこれにブリーフケースを加え3品そろったら本製産スタート。ブリーフケースは型紙は出来たのでこれからサンプル作り。もうしばらくパターンと試作品作りが続きますが、ミドルエイジ以上の紳士淑女の皆様、乞うご期待。

Le Bonheur (19:11) | コメント(2)

Comments

  1. 口分田真  より:

    またまた魅惑の製品が・・・・・楽しみにしています。先立つものの心配をしなければ。

  2. ノブ より:

    これも強烈です。秋冬の旅行の御供として最高と思いました。しかし現在のライフスタイルを考えると、この鞄にふさわしい優雅な旅行はなさそうです。

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