ル・ボナーの一日

エレファント革のトランク完成

2016年03月28日

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数年前にお受けしたエレファント革のトランクがようやっと出来上がりました。A4ファイルがギリギリ入る、小さいけれどぽっちゃり可愛いサイズバランスのトランクに仕上がりました。いつでも良いですよのお言葉に甘えて今日まで完成が伸びてしまいました。フルオーダーでのカバン製作はこれが最後と考えています。これからは量産のサンプル製作に専念したいと思ってます。

(トランク豆知識)

トランクは厚紙で芯を作りそれに革を貼り込んで口元に金属枠を革で巻き込んで強度を出す作りです。蓋と本体の高さが違ってきます。柔軟性を持ったハードケースです。木箱を作ってそれに革を貼り込んで組み上げるのがアタッシェ。アタッシェは蓋と本体が同じ高さになります。木箱の強度で支えるつくりです。

トランクの発祥は英国です。アタッシェはヨーロッパ大陸のどこかの国で作られたようです。日本は戦前英国のカバン作りに大きく影響を受けていました(戦後はイタリアの影響を強く受けたカバンやハンドバッグを作るようになりました)。そして日本の戦前のトランクは元祖英国製より丈夫なトランクを作っていました。現在残っている戦前のトランクは圧倒的に日本製です。強度を高める為、厚紙に革を貼り込む前に何枚もの薄紙をヤマト糊で何重にも貼った上に革を貼るという手間を惜しまない日本の職人の仕事が影響しています。

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上の画像で分かるように日本製は縦横比が1対2。これは畳の縦横比から来ています。英国のトランクやアタッシェはこのサイズバランスは存在しません。ちなみに画像のクロコのトランクは某神戸の資産家の蔵に眠っていた品を適正な代価をお支払いして譲って頂いた品。このサイズのクロコのトランクはは当時でも相当高価だったと想像出来ます。当時この半畳サイズの牛革のトランクで大学卒の初任給の価格だったからその5~10倍ほどか。

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フルオーダーの最後がオール手縫いのトランクだったのは何かの巡り合わせか。40年ほど前に独立してカバン作りを生業とした時、よくトランクは作った。下北近くの井の頭通り沿いの古道具屋で購入した戦前の日本製トランクを分解して作りを研究したのが最初だった。その後も節目節目でトランクは何度も作った。アタッシェは出来てもトランクは絶対量産は出来ない特別な鞄。

Le Bonheur (19:13) | コメント(0)

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