ル・ボナーの一日

ハミの贅沢な裁断

2006年07月10日

ハミの贅沢裁断.jpg ハミが裁断するとこうなります。真ん中の綺麗な場所から裁断を始め、周りを多く残します。こんな裁断方法が許されるのはエルメスぐらいです。取り都合から考えれば最悪ですが、出来上がった鞄の行く末を考えるとベストな裁断方法です。 コンピューター裁断機だったら、1,5倍は取りきるパーツの量が違うでしょう。 昔、製造卸しをしていた頃の私だったら、もったいないと烈火のごとく怒っていたでしょう。しかし今はお店を持って売っているので、鞄にとってはベストの裁断方法なんだからと私もハミの影響を受けて、私の裁断も同じようになってきました。 革は放射線上に伸びません。それに反した方向に裁断すると伸びます。端にいけば行くほどその性格は顕著にでます。取り都合だけを考えて裁断すると、伸びてしまうパーツも多くなるので芯材を多用してそれを防ぎます。裁断に気を使えば、伸びるのを防ぐための芯材を使わなくて済みます。 革の表情感を損なわずにカバンを作る場合、出来るだけ芯材は使わない方が良いと私たちは考えています。 ル・ボナーのカバンは統一性がないとよく言われます。その通りだと思います。 しかしそれで良いと思っています。それぞれの革が一番活きるであろうデザインと縫製を大事にしてカバンを作ろうと、ハミと私は思っています。

Le Bonheur (08:22) | コメント(3)

Comments

  1. ノブ より:

    革は命の引き換えですよね。活かしてください。希望としては残った革でブックカバー作ってほしいです。ブックカバーは手にして、その感触が豊かさを味わえるものです。文庫サイズでよいですから。

  2. たなか より:

    型紙から見ると、ブリーフキューブでしょうか。
    こんなに大切に愛情を持って作られる鞄を持てることは、造り手の思いを、
    大切に受け止め私も鞄たちに、愛情をもってこれからも付き合っていきたいですね。

  3. ル・ボナー松本 より:

    ノブさん
    ブックカバーは0,7ミリに薄く割らないといけません。そのため周りの革の繊維の緩んだ部分は使えないのです。捨てるしかありません。
    たなかさん
    ボストンキューブの型紙です。

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