ル・ボナーの一日

フルオーダー

2006年09月06日

9,5フルオーダー.jpg 今フルオーダーのカバンを作っています。 定番の形の色違い(イージーオーダー)の注文はお受けしているのですが、型紙から新規に起こすフルオーダーは古くからのお客様の注文をこなす程度です。 理由は、価格が上がってしまうという事と、お店に並べるカバンたちを充実させることが出来なくなるということです。 私たち夫婦がお店を持ちカバン作りを続ける本来の目的は、自分達を表現する手段なのです。 自分達を表現するカバンたちでお店を充実させなければ、お店を持っている意味がないのでは。 そう考え、定番かばんの充実に力を入れているため、フルオーダーをお受けする数を減らしています。 それでも、昔からのお客さまの注文は毎月何点かはあります。 そういった注文は、納期の制約を勘弁してもらい受けています。 今回オーダーされたお客様も10年以上のお付き合いになります。大学を卒業して就職される時、ル・ボナーのカバンを購入され、その後毎年ル・ボナーの製品を購入していただきました。 今は結婚されお子様が生まれ、一児のパパさんです。カバンを通じて、お客様の人生のプロフィールに少しお供させていただきます。 先日も、ここでお店をオープンした頃よく来店していただいたお客様が散歩がてら、久々にお顔を見せていただきました。背が高く、イギリス紳士風の着こなしは今も変わりません。 今年で85歳になり、もうカバンはいらなくなったと。たしかに古き良き時代のヨーロッパのカバンたちも多く持っていられてもういらないでしょう。仕事の関係で海外の生活が長かったその老紳士は、今は神戸らしいお洒落な85歳です。 私は、歳をとっても、元気にカバンを作り続けこのお店を続けたい。今親しくしているお客様たちが、カバンが必要でない歳になられても、顔を出していただきお茶のみ友達でいられたら、なんて幸せなことでしょう。

Le Bonheur (08:44) | コメント(4)

Comments

  1. たなか より:

    心意気やっと読ませていただきました。
    ブログに載ってから、本屋に行く度クロノスを探して昨日やっと熊本の本屋で見つけて、立ち読みして来ました。
    私も、職種こそ違えやっぱ少しでも美味しい魚をと、家内からは原価率と云われ続けていますが、
    お客様に喜んでいただいてなんぼ。
    そして夢は修行に出ている息子には、
    息子と私達が話し合って、息子の店を作りたいと思うし、私は仕事の出来る限り、いつまでも今のここで、地元のお客様を大切にしていきたいと思っております。

  2. ル・ボナー松本 より:

    たなかさん
    神戸が気に入っていますので、私もこの場所でお店を続けて行くことになりそうです。
    ユーロ高で値上がりしたばかりのフランスの大手タンナーが今度は社内の事情で、25パーセント値上げします。こんな無茶苦茶な値上げ巾は聞いたことがありません。革のなめしも昔に比べて甘くなっているのにです。私はこれからはこのタンナーの革は極力使わない方向でいきます。

  3. たなか より:

    今日銀行で手形の切り替えをしてきました。
    田舎は不景気のままですが、都会が景気回復したからと、金利も上がりました。
    油が値上がりし、材料費が値上がりする中で自分の納得出来る仕事を続けていきたいと思っています。
    ヨーロッパはユーロ高とともに、日本にたいして何でも値上げされているみたいで、時計や洋服などもちょっと前からすると随分値上がりしてますね。
    ブランドではなく、ル・ボナーさんの
    信念にあった革を使っていただいてこれからも心意気を貫いてください。
    私はそんな松本様の姿勢を尊敬しています。

  4. ル・ボナー松本 より:

    たなかさん
    ありがとうございます。
    値段、ブランド力は気にせず私が良いと思う革を使っていきます。

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