ル・ボナーの一日

海の向こうからやって来たシズレ

2009年06月18日

%E7%94%BB%E5%83%8F6%20252.jpg 海の向こうと言っても海外のことではありません。 瀬戸内海の向こうの四国の地で万年筆を煩悩の種類(108)持っている人がいる。 そのお方に頼まれていた鞄が思っていたより早く出来あがった事に感激して頂き、 鞄の代金は頂いた上にこのデッドストックのパーカー75シズレを頂いたぁ~!。 108の煩悩は種類であって数ではないのだそうで、この時代のパーカーはそれどれ数本づつ持っているので大丈夫だそうです。何が大丈夫なのか。 このありがたい贈り物を拒絶する事は出来ません。シズレは一本は欲しかった。 昭和の終わりと供に生産を終えたパーカーの傑作万年筆。高度成長時代のビジネスマンの憧れ。過度に高級ではなくて、それでいて満足感十分な万年筆。 今年は万年筆はもう増やさない予定でしたが、頂き物を拒絶するほどストイックな考えは持っておりません。役得を素直に受け入れるボンジョルノでありました。 %E7%94%BB%E5%83%8F6%20250.jpg 四国にはまだまだまだ文房具屋さんの片隅にお宝万年筆が隠れて埋蔵されているようです。 この75を含む昭和のパーカーを10本ほど見つけて購入された時は、店主に値段を尋ねると「1万円」と言われて1本1万円と思っていたら10本で1万円。凄い。 頂いたパーカー75シズレは調べてみると1974~79年代に製造された万年筆。 私が18~23歳頃のまさに青春時代真っ只中に作られたモノであります。 パーカーらしく硬い書き味は実用的。 ただカートリッジを装着して書いてみるとガリガリひっかかる。 無謀にも自分でペン先を研いでみることにしました。 多くの万年筆調整師の仕事を見ていて、素人の私でもイリジュウムをまろやかにしてスムーズな書き味にする事はできるのではないかと考えて挑戦してみた。 ルーペでペン先を確認しながら研ぎました。そして書いてみて引っかかる部分見つけては研いで出来上がったペン先をルーペで見てみると個性的な形状。 極細が私好みの中字ほどにもなった。イリジュウムを相当削ったようだ。 %EF%BC%96%EF%BC%91%EF%BC%93%E3%83%9A%E3%83%B3%E5%85%88%EF%BC%92.JPG %EF%BC%96%EF%BC%91%EF%BC%93%E3%83%9A%E3%83%B3%E5%85%88%EF%BC%91.JPG つきみそう先生は長刀砥ぎよろしく「幻のコテ砥ぎ」と命名。 私の角度で私の書き癖だと素敵な書き味。 ただ角度を少しでも上下すると極端なまでにガリガリ不快な書き味。 スイートポイント極端に限定されたペン先になってしまった。 ペン先を素人が研いだ結果がコレ。お勧めしません。 でも私だけが満足できるペン先というのは気に入っているボンジョルノ。 私の普段使う万年筆はこのパーカー75シズレになりそうだ。

Le Bonheur (00:20) | コメント(7)

Comments

  1. pelikan_1931 より:

    二度とやらないようにな!
    Re: pelikan_1931 さん
    反省しております。でも~面白かったです。
    このペン先を調整してくださいと専門家の皆さんに見せたら怒られると思いますので見せられません。
                              ル・ボナー松本

  2. pretty-punchan より:

    おお~、とうとう研ぎの世界にまで足を踏み入れましたか。ついでに横スリットも入れてクロスポイントにしたらどうですか?ボンジョルノさん好みの中字になったということですが、それは最初から狙った調整だったのかなあ?マリナーズのイチローが使うバットはスィートスポットが極端に小さいらしいのですが、いよいよボンジョルノさんも万年筆使いの達人の域に到達したわけですねえ。このシズレ、じっと静かに四国で過ごしたかったろうになあ…。
    Re: pretty-punchan さん
    結果中字になってしまったというのが事実です。
    無手勝流に研いでしまったこのシズレ。不思議なほど愛着感じております。供養と思ってではなくて、これから一番の愛用になると思っております。今のところは。
                              ル・ボナー松本

  3. つきみそう より:

    限りある資源であるガソリンをバンバン焚いて走る自動車はおもしろい。同じく限りあるイリジウムをがんがん削ったら楽しいのか・・・涙がとまりません。
     このペン先、紙に接する面に瞬間接着剤をつけて机の上に置いたらそのまま斜めに立ちそうです。
     ボンジョルノはたくさん萬年筆をお持ちですから、1本くらいこういう変態があってもいいのでしょう。私は数少ない手持ちを大切に使います。
    Re: つきそう さん
    たしかにイリジュウムが3分の1ほど削り取ってしまったようです。これ以上削ったらまずいと思いました。もうしないと思います。先生の命名した「幻のコテ砥ぎ」は市民権を得られるでしょうか?得られる訳ありませんよね。でも私には特別なシズレとなりました。
                              ル・ボナー松本

  4. たがみ たけし より:

    自分もこの前75のシズレを入手しましたが、これは思った以上に素敵な書き味で気に入ってます!(自分のはノーマルなMですが……)
    ペン先調整も出来ない自分には「研ぎ」は未知の世界なので、カナリ怖いです!てか、不器用な自分はやらない方が良いと思ってます……つきみそうさんと同じく手持ちの限りある、数少ない万年筆を愛でる事にしていましょう……合掌!
    Re: たがみ たけし さん
    シズレは本当にシックリいく万年筆ですよね。
    私は書くと「なんじゃこれは~!」と発してしまうようなビンテージのペン先を持った万年筆に強い関心を持っている次第に至ってしまっているのですが、シズレはそんなペン先とは逆に、実用としての万年筆として素晴らしい。私だけの実用に至ったこのシズレには強い愛着感じております。でも素人が研ぐと悲劇を生む可能性の方が多いと、今回の暴挙をしてしまって感じております。これからはプロにお任せすることにいたします。
                              ル・ボナー松本

  5. taka より:

    思い切り自分砥ぎをやり倒して
    あとは、ニブポイントを付けてくれる職人さんにつけてもらえばいいのでは?
    改造まで進めれば、これは、これでハイアマチュアの究極の姿では?
    ただ遠い将来、会長の蔓延筆を受け継ぐ人が、パーカーとはこんなものかと勘違いするのと
    森山さんでもない、長原さんでもないどんな職人さんが研いだのかと議論が沸騰するのが楽しいではありませんか?
    清王朝の皇帝が、書画にハンコを押しまくる行為を彷彿とさせるところがありすがね??(ちょっと大げさ)
    Re: taka さん
    もうやりません。この万年筆を想い出の品として「砥ぎ」はこれからはしません。だからイリジュウムつけて頂ける職人さん探す必要はありません。でも結構楽しかったです。
    でも今度来られた時には、このスイートポイントが極端に限定された「幻のコテ砥ぎ」のシズレの書き味お試しあれ。
                              ル・ボナー松本

  6. orenge より:

    1本千円とは・・・安いですね。私もパーカー・クラシック・シャープペンシル(スターリングシルバー)は一本千円で2本手に入れました。
    Re: orenge さん
    四国はまだまだ探すと素敵なお宝がいっぱいある所のようですね。
    探しに私も行きたいです。
                            ル・ボナー松本

  7. 夢待ち人 より:

    懐かしいニブのカット形です、性懲りもなく結構失敗もしましたがでもその向こうにはきっと[俺だって~]って思ってしまいやり続けています。最近は少し灯りが注してきたような気になって結構楽しく遊んでいます(笑)アンバランスありがとう御座いました。喜んで使っているので、今のうちにまた万年筆を物色しております。松本様に感謝~
    Re: 夢待ち人 さん
    私はもう怖くて砥ぐのはやめます。
    このシズレを大事に使う事にします。
    夢待ち人さんは頑張って極めてください。
    奥様にアンバランス・ポシェット喜んで頂けてよかったです。
    万年筆はほどほどにされた方が良いと思います。
    私のように・・・・・・・・・・。
                              ル・ボナー松本

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